アマゾンの記録的干ばつ「主要因は気候変動」 国際研究チーム
- 国際
- 2024年1月26日
南米ブラジルのアマゾン川流域で昨年後半から続く記録的な干ばつは、気候変動が主な要因だとする分析を、国際研究チームが24日に発表した。同地域に干ばつをもたらした小雨と高温は、人為的な気候変動がなかったと仮定した場合に比べて30倍近く起きやすくなっていたという。
ブラジルでは昨年6月以降、アマゾン流域の広い地域で前例のない干ばつの被害が広がった。支流の一部では過去120年間で最低の水位を記録。研究チームによると、内陸水運にも大きな影響が生じ、依存度の高いへき地の集落や先住民、小規模農家など社会・経済的に立場の弱い人々がより大きな影響を受けた。水温の上昇に伴い、絶滅危惧種であるピンク色のアマゾンカワイルカが大量死するなど流域の生態系にも異変がみられた。
研究チームは気象データとコンピューターシミュレーションを活用し、人為的な気候変動が起きる前の地球と気候変動が進んだ実際の地球をそれぞれ再現し、ブラジルで今回起きたような干ばつの発生頻度を比較した。同様に太平洋の赤道域東部の海面水温が平年より高い状態が続く「エルニーニョ現象」の影響も評価した結果、今回の干ばつをもたらした高温の要因は、ほぼ人為的な気候変動によるものだったと結論づけた。
研究に参加したブラジル・サンタカタリナ連邦大のレジーナ・ロドリゲス教授(気候学)は「アマゾンは気候変動との闘いを左右する。流域に広がる熱帯雨林を守れば、アマゾンは世界最大の陸上の炭素吸収源として機能し続ける。だが温室効果ガスの排出量を減らさず、森林伐採を続ければ、気候変動との闘いはさらに難しいものになるだろう」と指摘する。
毎日新聞より転用
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