生放送中に武装集団 乱入し、番組中断 エクアドルの国営テレビ
- 国際
- 2024年1月10日
南米エクアドルで9日、国営テレビ局の生放送中に武装集団が乱入し、番組が中断した。地元メディアなどが伝えた。エクアドルでは、犯罪組織のリーダーが刑務所から脱獄して以降、警察官が誘拐されるなど治安が急速に悪化している。ノボア大統領は22の犯罪組織を「テロリスト」と呼んだ上、国内は武力衝突の状態にあると宣言して軍に制圧を命じた。
事件は最大都市グアヤキルにある国営テレビ局「TCテレビシオン」のスタジオで起きた。ソーシャルメディアでは、銃声とみられる音が響き渡って悲鳴が聞こえたり、マスクなどで顔を隠した人物が番組スタッフを銃で脅したりしている映像が確認できる。ロイター通信によると、警察は乱入に関与したとして13人を拘束した。動機などは明らかになっていない。
エクアドルでは7日、国内最大の犯罪組織の一つ「ロス・チョネロス」のリーダーのアドルフォ・マシアス受刑者がグアヤキルの刑務所から脱獄した。麻薬の密輸や殺人などの罪で2011年から服役中だった。
脱獄を受けて、ノボア大統領は8日、60日間の非常事態宣言を出し、刑務所に軍隊を配備したり夜間外出禁止令を出したりした。しかしその後も首都キトなどで警察官が少なくとも7人誘拐され、裁判所の近くでも爆発が発生するなど混乱は収まっていない。
エクアドルはかつて治安が安定していたが、コカイン生産国のコロンビアとペルーに挟まれた地理的要件から近年は麻薬を密輸する犯罪組織が暗躍。国連薬物犯罪事務所(UNODC)によると、22年に殺害された人は4859人と前年比でほぼ倍増するなど治安は悪化の一途をたどる。23年8月の大統領選の1回目投票前には、犯罪組織や汚職問題に批判的だった有力候補の一人が暗殺される事件も起きた。
毎日新聞より転用
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