ネクタイ巡り異例の議会ボイコット…議員らは「約束破られた」と主張、議長は自宅回り出席求める
- 政治・経済
- 2023年9月8日
香川県の観音寺市議会で、不信任決議を受けた議長の辞任を求める議員8人が、7日の本会議を「ボイコット」する異例の事態が起きた。議長は自らの進退を明確にしておらず、今後の先行きは不透明だ。対立のきっかけは、クールビズを巡る議長の発言だった。(中山真緒)
■自宅訪問
「会議を開くことができません」。午前10時から一般質問が行われるはずだったが、8人の欠席で空席が目立つ議場に向けて、篠原和代議長は休会を宣言した。
定数は20人(欠員3)。地方自治法では、定数の半数が出席しないと会議を開くことはできないと定められている。
だが、議会側が議員に出席するよう催告の手続きを行い、それでも出席しなければ、開会できる。このため、篠原議長は休会中、欠席議員の自宅を回るなどして出席を求めた。
3時間半後の午後1時30分に再開した。欠席した8人のうち、この日に一般質問を通告していた白川雅仁議員だけが姿を見せた。白川議員は一般質問で、障害児支援や防災計画などを尋ね、「市民の代弁者としての責務を果たすために一般質問をした」と締めくくり、他の議員の一般質問を待たずに、議場を去った。
■「苦渋の決断」
なぜ対立は深まったのか。
議会事務局によると、篠原議長は4月、5~10月末をクールビズ期間とし、「ノーネクタイなどの軽装も可」と通達した。
しかし、大久保隆敏議員らの説明では、6月中旬頃、篠原議長から廊下で「ネクタイをしたほうがいいのではないか」と言われたといい、「着用を強要された」としている。
大久保議員らは「約束を破られた。議長として許せない行為」と反発。「議長が外部の特定の個人の意見におもねって、着用を求めた」と主張している。
大久保議員は8月24日に副議長の職を辞任し、同31日、「このような議長に議会を任せられない」として不信任案を提出。同日の採決では、8人が賛成し、決議された。大久保議員は決議後、「議案提出は苦渋の決断だった。議長を辞めないなら批判覚悟で議会をボイコットする」と述べていた。
■「申し訳ない」
不信任決議に拘束力はなく、進退は篠原議長の判断に委ねられる。
篠原議長は、ネクタイ着用を強要したとの指摘には「『市長らも着用しているし、したほうがいいのではないか』と提案しただけ。公の場ではなく、立ち話程度の会話で、不信任案を出されたのは納得できない」と反論する。
辞任については7日、「審議がスムーズに行えないことは市民に大変申し訳ない。市民にとって何が一番の選択なのか考えたい」と述べた。
9月定例会は21日までで、一般質問は8日も予定されている。
■落ち着いて話し合いを
議会の混乱を市民はどう見ているのか。
無職男性(71)は「そもそも自分たちが選んで議長にしたのではないか。つまらないことでもめて、税金の無駄遣いをしないでほしい」と憤った。
主婦(37)は「議会のボイコットとは驚いた。きちんと話し合いをしてほしい」とし、会社員女性(60)は「色々事情があるのはわかる」と理解を示しつつ、「双方落ち着いて話し合って、市民のための議会にしてほしい」と語った。
読売新聞より転用
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