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SMBC日興に罰金7億円、追徴金44億円 株価操作事件で地裁判決


 SMBC日興証券による株価操作事件で、東京地裁(神田大助裁判長)は13日、いずれも金融商品取引法違反(相場操縦)の罪で起訴された、法人としての同社に罰金7億円と追徴金約44億7千万円(求刑罰金10億円と追徴金約44億4千万円)、エクイティ本部の元副本部長・杉野輝也被告(57)に懲役1年6カ月執行猶予3年(求刑懲役1年6カ月)の判決を言い渡した。

SMBC日興証券本店=2022年4月11日午前11時35分、東京都千代田区丸の内3丁目、横山輝撮影© 朝日新聞社

 判決は「市場のゲートキーパーである大手証券会社は法を厳に順守する範となるべき立場にあり、非難の程度は重い」と指摘した。

 判決によると、日興は2019~21年、東証1部上場(当時)の10銘柄について、市場が閉まる直前に計約44億円の自社資金で大量の買い注文を入れるなどし、終値を安定させる操作をした。杉野被告はこのうち1銘柄で起訴され、有罪が認定された。

 10銘柄は大株主の保有株を市場外で買い取って投資家に転売する「ブロックオファー」取引の対象だった。売買価格は取引日の市場の終値が基準となり、日興は約10億9千万円の差益を得たと認定された。

 判決は、この取引は投資家の「空売り」を誘発して株価の下落を招く問題があり、下がりすぎると大株主が取引を止める恐れがあったと指摘。日興は「有効な手立てを講じず、当座の利益を優先させた安易な姿勢で、自社資金での買い支えを重ねた」と批判した。

 そのうえで日興社内ではコンプライアンス部門が違法性に気づきながら放置されるなど、「違法行為を監視・防止する機能は形骸化していた」と述べた。「複数の幹部による違法行為を容易に許した社内風土にも根深い問題があった」とし、「会社の監督過失の程度は大きい」と結論づけた。杉野被告については「違法性を認識しながら安易に了とした責任は重い」と指摘した。

 日興側は他にも元副社長・佐藤俊弘被告(60)ら5人が起訴されたが、起訴内容を否認しているなどの理由で公判は分離され、初公判の期日は決まっていない。

 日興は「判決を重く受けとめ、関係者に心よりおわび申し上げます。再発防止の取り組みを着実に実行し、信頼回復に努めます」というコメントを出した。


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