王将、260億円流出 特定企業と不適切取引
- 政治・経済
- 2022年10月29日
「餃子の王将」を展開する王将フードサービス(京都市)が、過去に不適切な不動産取引や貸し付けにより10年間で約260億円を社外に流出させ、うち約170億円が回収不能になっていたことが29日、分かった。王将が設置した第三者委員会(委員長=大仲土和弁護士)が明らかにした。流出相手との取引は平成25年12月に当時の大東隆行社長が射殺された後も現在まで続いており、第三者委は現経営陣の問題認識の甘さを批判し、関係解消を求めた。
第三者委が29日公表した調査報告書によると、王将は平成7~17年ごろ、特定の企業グループとの間で不明朗な不動産売買や資金貸し付けを繰り返し262億円が流出。うち176億円が回収不能になった。同グループの実質経営者は王将創業者(故人)が昭和52年ごろに知り合い、同社は許認可に関する口利きや土地買収の折衝などで助力を仰いでいたという。
大東前社長は一連の取引を清算したものの、創業家が運営する財団法人と王将との取引を解消するために実質経営者の力を借りようとした。こうした経緯について平成25年11月に社内報告書が作成されたが、取締役会で十分な議論がなされず、現在も同グループとの間で一部業務の契約は継続している。第三者委は「制止がきかなかったのが問題だ」と指摘した。
大阪市内で29日会見した渡辺直人社長は、この実質経営者について「お会いしたことはない。反社会的勢力という認識は持っていない」と強調。「契約解消については取締役会で真摯(しんし)に検討する」と話した。
王将は昨年12月、大東前社長の射殺事件に九州に拠点を置く暴力団が関与していたとの報道を受け、弁護士らでつくる第三者委を設置。現経営陣と反社会的勢力との関係の有無や企業統治体制について調査を依頼していた。第三者委はOBを含め32人に聞き取りを行い、現経営陣と反社との関係はないと結論づけた。
産経新聞より転用

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