東電元会長らに13兆円賠償命令=原発事故、4人の過失認める―株主訴訟、史上最高額・東京地裁
- 政治・経済
- 2022年7月14日
東京電力福島第1原発事故をめぐり、津波対策を怠ったとして、東電の勝俣恒久元会長ら旧経営陣5人が過失責任を問われ、総額22兆円の損害賠償を請求された株主代表訴訟の判決が13日、東京地裁であった。朝倉佳秀裁判長は「津波対策を取れば事故を防げた可能性は十分にあった」と判断して勝俣元会長ら4人の過失を認め、13兆3210億円の賠償を命じた。裁判の賠償額としては国内史上最高とみられる。
賠償を命じられたのは勝俣元会長のほか、清水正孝元社長、武黒一郎、武藤栄両元副社長。清水氏を除く3氏が業務上過失致死傷罪で強制起訴された刑事裁判では、一審東京地裁が津波の予測は困難だったとして無罪を言い渡しており、判断が分かれた。
株主訴訟でも、津波地震を予測した政府地震調査研究推進本部の「長期評価」に基づき、東電が2008年に原発敷地高を超える15.7メートルの津波高を試算しながら、長期評価の信頼性は低いとして対策を講じなかった判断の是非が争われた。
朝倉裁判長はまず、「ひとたび事故が発生すると国土に広範な被害を及ぼし、わが国の崩壊につながりかねず、原子力事業者には最新の知見に基づき事故を万が一にも防止すべき公益的義務がある」と言及。長期評価は「専門家によって真摯(しんし)に検討され、相応の科学的信頼性がある」と認定し、津波対策が必要だったと判断した。
その上で、それぞれの過失の有無を検討。08年7月に原子力・立地副本部長として試算の報告を受けた武藤氏について「対策に着手せず放置した不作為は著しく不合理で許されない」と批判し、同本部長として了承した武黒氏の過失も認めた。
勝俣、清水両氏も09年2月の会議で津波による事故の可能性を認識しながら対策を怠ったと認定。「安全意識や責任感が根本的に欠如していたと言わざるを得ない」と非難した。
取るべき対策として当時、柏崎刈羽原発でタービン建屋開口部などに浸水を防ぐ水密化が施されていた点を挙げ、2年程度で同様の措置が講じられた可能性が高いと判断。事故を防ぐことは十分可能だったと結論付け、4人の過失と因果関係があるとした。小森明生元常務については、試算結果を知ったのが事故の約8カ月前だったとして賠償責任を認めなかった。
請求額のうち、東電の支出が確定した廃炉費約1兆6150億円、被災者への賠償額約7兆834億円、除染費用など約4兆6226億円を賠償額として認めた。
時事通信社より転用
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