リュウグウ試料からアミノ酸発見 生命の起源の謎解く鍵に
- 政治・経済
- 2022年6月7日
探査機はやぶさ2が持ち帰った小惑星リュウグウの試料から、アミノ酸など複数の有機物が見つかったことが関係者の話でわかった。一部は生命の材料に使われる物質で、生命の起源の謎を解く鍵になる可能性がある。
はやぶさ2が地球へ持ち帰ったリュウグウの試料は、小さい粒子や石など計約5・4グラムある。顕微鏡などを使った非破壊観察で、炭素や窒素を含む化合物の特徴が見つかっていたが、どんな物質かは特定できていなかった。
チームは試料の一部を水や有機溶媒で溶かし、組成や含まれる化合物を詳しく分析した。その結果、試料の組成は炭素4%、水素1・2%、窒素0・17%と有機物に富んでおり、アミノ酸や脂肪酸、アミンなど、生命の材料に使われるさまざまな有機物や化合物が見つかった。アミノ酸だけで少なくとも十数種類あったという。
ただし自然界のアミノ酸には、鏡に映したように構造が反転している「左手型」と「右手型」がある。リュウグウの試料に含まれるアミノ酸は、左手型と右手型が同じ割合だった。一方、地球上の生命は左手型だけを使っており、生命の起源の謎の一つだ。
地球で見つかる隕石(いんせき)の一種「炭素質隕石」からは、水を含む鉱物やアミノ酸などの有機物が見つかっており、太古の地球に生命や海の材料を運んだのではないかと考えられている。この炭素質隕石の「ふるさと」とされるのが、リュウグウなどの小惑星だ。太陽系でどのように分子が進化したのか、また生命の誕生に結びついたのかどうかを知る手がかりになると期待されている。
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