スイスが対北仲介役名乗り 武力衝突回避 欧州も制裁強化へ
- 国際
- 2017年9月6日
【ベルリン=宮下日出男】6回目の核実験で緊張が高まる北朝鮮情勢をめぐり、欧州で軍事衝突の回避を模索する動きが慌ただしくなってきた。ドイツのメルケル首相は4日、トランプ米大統領に対し、欧州側も制裁強化を図る意向を伝える一方、平和的解決の重要性を主張。中立国のスイスは対話の「仲介役」として名乗りを上げた。
独政府の発表によると、独米首脳は電話で会談し、「水爆実験は受け入れられない事態悪化」であり、国連安全保障理事会による制裁強化が必要との認識で一致。メルケル氏は「北朝鮮への厳しい追加制裁のため欧州連合(EU)内で尽力する」とも伝えた。
メルケル氏は3日、「軍事的な解決」はないとし、軍事行動を排除しない米国を説得する姿勢を見せていた。独側の発表は具体的な説得に言及していないが、「目標は平和的な解決」と強調。圧力強化で北朝鮮を譲歩させ、軍事行動への発展を避ける考えとされる。
北朝鮮の相次ぐ挑発などを受け、日米より関心が低いとされた欧州も朝鮮半島情勢への危機感は高まっている。マクロン仏大統領も3日、メルケル氏とジェンティローニ伊首相と個別に北朝鮮に対する圧力強化に向けて調整した。
EU側も「平和的手段」(モゲリーニ外交安全保障上級代表)による解決を重視する姿勢で、7~8日の非公式外相理事会では制裁強化を含む対応を議論する方向。欧州が制裁強化に動く背景には、厳しい制裁を経て実現したイラン核合意の“成功例”が念頭にあるとみられるが、北朝鮮に通用するかは微妙だ。
一方、ロイター通信によると、スイスのロイトハルト大統領は4日に行った記者会見で、制裁を強化しても「多くは変わらない」との認識を示した上、「対話の時が来ている」とし、同国を対話の場に仲介役を担う用意を表明した。中立国のスイスは1994年、クリントン米政権下で「米朝枠組み合意」が成立した舞台であるほか、金正恩朝鮮労働党委員長がかつて留学していたこともある。ロイトハルト氏は「彼らもスイスなら政治的解決を見いだすために会えるかもしれない」と訴えた。
一言コメント
なぜ北朝鮮は力で無理やり脅すことしかできないのかテレビを見るたび頭をかしげることが多い。
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