国際線の予約停止を撤回、国交省が3日前に要請も正式公表せず…国交相「配慮すべきだった」
- 政治・経済
- 2021年12月3日
政府は2日、新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」への水際強化策に関し、国内外の航空会社に対する日本着の国際便の新規予約停止要請を撤回した。海外の日本人駐在員や出張者らが年末年始に帰国できなくなる影響の大きさを考慮した。入国者数の制限は継続する。
岸田首相は2日、「国土交通省に邦人の帰国需要について十分に配慮するよう指示した」と首相官邸で記者団に語った。松野官房長官は記者会見で「要請は緊急避難的対応として予防的観点から講じられたが、首相の指示を受け、取りやめた」と説明した。
国交省は混雑する休日の予約を平日に移すなどして、1日の入国者数を3500人以下に抑えられるよう、航空会社に協力を求める考えだ。日本航空と全日本空輸を傘下に持つANAホールディングス(HD)は要請撤回を受け、国際線の新規予約受け付けの再開準備を始めた。
新規予約停止要請は、政府が11月29日、日本人の帰国者を含む1日の入国者数の上限を5000人から3500人程度に絞り込む方針を打ち出したことを受けたものだった。国交省はこの日のうちに航空会社に12月末までの1か月間の新規予約の停止要請を通知。日本航空やANAHDはこれに従い、12月1日から新規予約を停止していた。
国交省は要請について正式に公表せず、斉藤国交相は1日夕まで把握していなかった。斉藤氏は2日、「邦人の年末年始の帰国需要に対し、もう少しきめ細かな配慮をすべきだった。責任者として大変申し訳なく思っている」と陳謝した。
一方、政府は外国人の新規入国を例外的に認める「特段の事情」の判断について、厳格化した運用を開始した。
これまでは教育機関に欠員があった場合の大学教授や、医療体制の充実に資する医師の入国は、「特段の事情」があると認定されてきた。今後は、入国の必要性や緊急性を個別のケースごとに掘り下げて検討し、入国の可否を判断する。
また、政府は4日から、帰国者らが政府の指定施設で待機する「停留」措置の対象として、米国の一部(カリフォルニア州)、アイルランド、アラブ首長国連邦、ガーナ、サウジアラビア、ノルウェーの6か国・地域を追加する。
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