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【ジャパンC】コントレイル強かった!有終GI5勝目


万感のラストランだ。1番人気のコントレイルが中団追走から直線で突き抜け、2馬身差の完勝。引退レースでGI5勝目を挙げた。福永祐一騎手(44)=栗・フリー=は馬上で号泣し、矢作芳人調教師(60)=栗=は満面の笑み。レース後にはパドックで引退式が行われ、史上3頭目の無敗の3冠馬は惜しまれながらターフを去った。

最後の戦いで、無敗3冠馬が輝きを取り戻した。馬場のど真ん中を鮮やかに突き抜けたコントレイルが2馬身差で圧勝。検量室前で出迎えた矢作調教師は、福永騎手と固い抱擁をかわした。

「ホッとしたという気持ちと寂しい気持ちが重なり合っていますね。(敗戦が続いて)いろいろと言われたけど、強さを見せられて感激しています」

2年にわたる濃密な旅路が脳裏によぎったのか、指揮官はゆっくりと言葉を選びながら感慨にひたった。スタートは無事にクリアしたものの、前半1000メートル通過62秒2のスローペースで道中8番手。「もう少しいい位置を取る作戦だったし、通過タイムを聞いて位置的には良くないなと。非常に難しい展開で冷や冷やしていました」。しかし、愛馬は想像を超える上がり3ハロン33秒7の豪脚で己のプライドを証明してみせた。

史上3頭目の無敗3冠を達成した後はジャパンC2着、大阪杯3着、天皇賞・秋2着と3連敗。このまま終わるわけにはいかない-。中間は栗東CWコースで自己最速タイムをマークするなど負荷を強め、課題のゲートを克服するためにプール調教も取り入れて狭いスペースに慣れさせた。

「徹底的に攻めていけて、間違いなく良くなっているという感触が得られました。チャレンジしていく姿勢を失わないようにしたので、(プール調教にも)全く躊躇(ちゅうちょ)はありませんでした」

このフロンティア・スピリットこそが矢作厩舎の原動力だ。今年はラヴズオンリーユーで香港のQEIICを制し、米国競馬の祭典・ブリーダーズCでフィリー&メアターフ(ラヴズ)、ディスタフ(マルシュロレーヌ)と2勝を挙げる離れ業。6度目の挑戦にして初めてつかんだジャパンCで、角居元調教師(日、米、香港=2005年)、堀調教師(日、豪、香港=15年)に次ぐ史上3人目の同一年3カ国GI制覇を成し遂げた。

「菊花賞のときはホースマン人生で最もプレッシャーがかかりました。人間的にも成長させてくれたと思います。よくぞウチ(の厩舎)に来てくれた。感謝しかありません。彼の子供で凱旋門賞を取りたいですね」

世界への挑戦は次代に託される。コントレイルと矢作調教師が描く夢の航跡は、さらなる栄光へと続いていく。(漆山貴禎)

■コントレイル 父ディープインパクト、母ロードクロサイト、母の父アンブライドルズソング。青鹿毛の牡4歳。栗東・矢作芳人厩舎所属。北海道新冠町・株式会社ノースヒルズの生産馬。馬主は前田晋二氏。戦績11戦8勝。獲得賞金11億9529万4000円。重賞は2019年GIII東京スポーツ杯2歳S、GIホープフルS、20年GI皐月賞、GI日本ダービー、GII神戸新聞杯、GI菊花賞に次いで7勝目。ジャパンCは矢作芳人調教師、福永祐一騎手ともに初勝利。馬名は「飛行機雲」。

★単勝支持率…47・2%は4番目に高い支持率。

★3冠馬の勝利…1985年シンボリクリスエス、2006年ディープインパクトに続く通算3勝目。父子制覇は同レース5組目。

★日本ダービー馬同士の対決…ダービー馬4頭が同一レースに出走するのは初めて。

★矢作芳人調教師…管理馬延べ6頭の出走で初勝利。これまでの最高は本馬による20年の2着。JRA・GIは本馬による20年菊花賞以来で通算14勝目。この勝利で18年から4年連続JRA・GI勝利となった。JRA重賞は福島記念(パンサラッサ)に続く今年7勝目、通算53勝目。

★生産者・(株)ノースヒルズ(ノースヒルズマネジメント、マエコウファーム名義含む)…生産馬延べ14頭の出走で初勝利。これまでの最高は本馬の20年2着。JRA・GIは本馬による20年菊花賞以来で、通算19勝目(他にJ・GI2勝)。なお、この勝利で18年から4年連続でJRA・GI勝利となった。JRA重賞は阪神ジャンプS(トゥルボー)に続く今年4勝目、通算77勝目。

★オリンピアン3人が誘導…今夏の東京五輪で馬術競技に出場したJRA馬事公苑所属の北原広之選手(50)、戸本一真選手(38)、佐渡一毅選手(36)の3人が28日、ジャパンCなどで誘導馬に騎乗し出走馬をエスコートした。

★売り上げ、入場者数…ジャパンCの売り上げは215億573万2400円で前年比78・8%。入場者数は1万99人(うち有料入場9200人)だった。

サンスポより転用


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