グーグル、iPhone初期設定の「見返り」に1・7兆円支払い…21年度推計
- 国際
- 2021年10月26日
■米司法省が問題視
IT大手グーグルが自社の検索サービスをiPhone(アイフォーン)などで初期設定にしてもらう見返りに、アップルに支払う金額が2021年度に150億ドル(約1・7兆円)近くに達するとの推計結果を米資産運用会社がまとめた。支払額は20年度の約100億ドルから5割程度増える見込みという。巨大IT2社間の巨額のやり取りは、米司法省が問題視しており、波紋を呼びそうだ。
米資産運用会社「バーンスタイン」や司法省の訴状によると、グーグルは、アップルや韓国サムスン電子といったスマホメーカーや、閲覧ソフト(ブラウザー)の開発企業に対し、グーグル検索を初期設定にしてもらう見返りとしてお金を支払っている。検索の利用が増えるほど、グーグルのビジネスの柱となるインターネット広告で収入を得やすくなるためとみられる。
バーンスタインは、アップル製品を経由してグーグル検索を利用する割合が今後さらに増え、22年度にはグーグルからアップルへの支払額が最大で200億ドルに上るとの試算も示した。
グーグルの親会社アルファベットの売上高は20年度に1825億ドル(約20兆円)と巨額で、豊富な資金を使ってアップル経由の検索利用者を確保していることになる。こうした点については昨年10月、反トラスト法(独占禁止法)違反の疑いでグーグルを提訴した米司法省が問題視している。司法省は訴状で「グーグルは、アップルの巨大な消費者基盤を利用するのと引き換えに、毎年数十億ドルを支払っている」と指摘した。
ただ、グーグル側は提訴された際、アップルなどとの取り決めについて「他の多くの企業がソフトウェアを配布する際に使っている取り決めと何ら変わらない」などと反論している。
バーンスタインのアナリスト、トニ・サコナギ氏らは、グーグルが多額のお金を払う理由について「アップルが検索の初期設定をマイクロソフトの『ビング』に切り替えることへの恐れがある」と推測する。一方、司法省の訴訟は、裁判の開始が現時点で2023年に設定されていることなどから、「この支払いが規制されるリスクはあるが、何年も先になるだろう」と分析する。
読売新聞より転用
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