クラッシュ事故は、ツール・ド・フランスの初日、ブリタニー北西部のブレストとランデルノーの間のコースにおいて発生した。黄色いレインコートを着た当時30歳のフランス人女性が車道に踏み込み、中継カメラの方を向いて「Allez Opi-Omi(Go、おじいちゃんとおばあちゃん)」と書かれた看板を掲げたタイミングで、ライダーが接触転倒。ツアーの公式記録では26人とされるが、実力者クリストファー・フルーム(英国)らを含むおよそ50人近くのライダーを巻き込む大クラッシュとなった。特に重いケガを負った4人のライダーがレースからのリタイアを余儀なくされた。

事故直後その場から逃走した女性は5日後に地元警察に逮捕され、事情聴取を受けた。当初、大会主催者は、犯人に対して強固な法的措置を取ると表明していたが、逮捕女性に対するネット上のバッシングが過激化した経緯から法的措置行使を取り下げた。

ただ、女性は「他人を危険にさらした」および「意図しないケガを負わせた」事実により、3か月後、地元の刑事裁判所に召喚されると報道されていた。その裁判の日がいよいよ今週末、10月14日に迫っている。

オーストラリアメディアの『news.com.au』によると、現在31歳の女性は刑事訴追され、15,000ユーロ(約196万円)の罰金と1年の懲役刑がくだされる可能性があると伝える。

さらには、プロの自転車選手の利益を保護する国際的非営利団体・プロサイクリスト協会(CPA)からは、「1ユーロ(約132円)損害賠償」が求められている(初出時「民事訴訟が起こされた」と記述しましたが、「同刑事裁判内での賠償請求」であり、お詫びして訂正いたします)。これは観客によるクラッシュ事故の抑止を踏まえた象徴的な損害賠償請求で、世間に「ライダーの安全についての主張と、アスリートを尊重する認識を高めるため」だという。

CPAの代理人は、「私たちが求めた1ユーロの補償は、マルク・ソレル(スペイン)の両腕の骨折や、トニー・マルティン(ドイツ)や他のライダーが地面に叩きつけられた結果に見合うものではありませんが、象徴的な価値があると考えています」と声明を出している。

SPORTINGNEWSより転用