円全面高、北ミサイルが日本海上空通過-対ドル年初来高値視野との声
- 企業・経済
- 2017年8月29日
東京外国為替市場では円が全面高。北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を通過したことを受けて、リスク回避の円買いの動きが強まっている。市場関係者からは、円が対ドルで年初来の高値を目指す可能性があるとの声が出ている。
円は29日午前7時36分現在、主要16通貨全てに対して上昇。ドル・円相場は前日比0.7%安の1ドル=108円54銭で推移し、一時は4月18日以来の円高・ドル安水準となる108円34銭を付ける場面があった。
三井住友銀行の山下えつ子チーフエコノミスト(ニューヨーク在勤)は、「北朝鮮は先週末もミサイルを発射していて、週末明けてあまり強くは意識されていなかったと思うが、また撃ったということで反応が比較的大きく、円高方向に動いている」と指摘。「日本の国土を越えたということで、先週に比べるとやや緊張度が高い状態で、あらためてマーケットもリスクオフという反応になっている」と述べた。
菅義偉官房長官の緊急記者会見によると、午前5時58分ごろ、北朝鮮西岸から1発の弾道ミサイルが北東方向に向けて発射された。日本上空を通過し、同6時12分ごろ、北海道襟裳岬の東約1180キロの太平洋上に落下したと推定している。政府は国家安全保障会議を早急に開催し、対応を協議する。
JPモルガン・チェースの佐々木融市場調査本部長は、「現時点ではダメージはないが、投資家がリスク回避を始めると、タイムラグを伴って円高が進むだろう」と指摘し、円の売り持ち解消の動きが出るかもしれず、ドル・円は4月17日に付けた安値108円13銭を試す可能性があるとみている。
上田ハーロー外貨保証金事業部の山内俊哉部長は、同盟国として米国がどういう反応を示すのかが注目、特にトランプ大統領のツイートなどが気になると話した上で、「今の局面の円買いは株価の下落を先取りした円買い。108円台は何回か下げ止まっていることもあり、108円を割り込むと厳しい状況になるかもしれない」と語った。
一言コメント
リスク回避の円買いという分析は正しいのでしょうか?
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