あなたが求める政策は? 年の瀬の街で聞きました 膨張予算でもコロナ対策求める声根強く
- 政治・経済
- 2020年12月20日
政府が15日に第3次補正予算案を閣議決定したことにより、2020年度の歳出総額は、新型コロナウイルスの感染防止策などで計175兆円に膨らむ見通しとなった。予算膨張の一因にはコロナ対策以外に、大規模な災害対策としての国土強靱化や、国会の議決を経ず政府が使途を決める予備費に多額の費用を計上した影響がある。国の予算は本当に困っている人の役に立っているのか。年の瀬を迎えた街で、今後必要な政策について人々の意見を聞いた。(経済政策取材班)
◆残る予備費に「児童手当の復活を」
政府は6月に成立した第2次補正予算で10兆円を盛り込むなど、20年度は最大で計12兆円の予備費を確保した。予備費の一部は持続化給付金や医療機関への支援などに使われたが、3次補正予算が成立しても5兆円近くが使われずに残る。
残っている予備費の使い道について、東京都大田区の会社員(38)は「政府が一部打ち切りを決めた児童手当を予備費から復活させてほしい」と訴えた。
政府・与党が合意した年収1200万円以上での児童手当の支給打ち切りを踏まえた上での要望で、「少子化と逆行するメッセージを政府が発することになりかねない」ことを理由に挙げた。
◆感染したら暮らし心配 生活保障求める声も
19兆円強を追加支出する3次補正予算案では、菅義偉首相が重視する政策として、脱炭素化社会に向けた技術支援の基金に2兆円、国土強靱化などに3兆円強が費やされる。一方で感染症の拡大防止策に使われるのは計4兆円程度しかなく、コロナ対策に直接関係がある政策にお金をつかうことを求める声は根強い。
リモートワークが難しい人が感染した場合の生活保障の充実を主張するのは、埼玉県内の物流会社に非正規で勤務する男性(48)。「体を使う仕事だから、新型コロナに感染したら急に食えなくなる」と不安を口にした。就職先の第1志望にしていた設計事務所が採用を見合わせた大学院生の女性(25)は「若者の雇用を守るため、職業訓練プログラムを充実させてほしい」と訴えた。
◆「Go To トラベル」一時停止に「方針はっきり出して」
政府の新型コロナ対策を巡っては、首相が停止を明確に否定していた観光支援事業「Go To トラベル」に関し一転して、年末年始に全国一律で一時停止に方針転換するなど迷走がみられる。
政府に対し、千葉県いすみ市のホテル「九十九里ヴィラ そとぼう」の杉本春枝総支配人は「命を大事にするのか、経済を優先するのか。方針をはっきりと出してほしい」と主張。その上で「コロナが収束した際には、ホテルが存続できるような政策を打ち出してほしい」と求めた。
東京都港区で居酒屋を経営する浜田江美子さんは「営業時間の短縮や外出自粛を要請するより、第1波の時のように緊急事態宣言を出して、まず感染を防止してもらいたい」と話した。
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東京新聞より転用
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