GoTo電子クーポン不正取得 JTB「るるぶトラベル」で被害続出
政府の観光支援策「GoToトラベル」事業で、「地域共通クーポン」の不正取得が相次いでいる問題。中でも、大手旅行代理店JTBが運営する「るるぶトラベル」を経由した予約を通じて、不正取得が続出していることが、「週刊文春」の取材でわかった。 GoToトラベルでは、10月1日から宿泊費の割引(旅行代金の35%分)に加え、旅行先の飲食店などで利用できる「地域共通クーポン」(旅行代金の15%分)の発行が始まった。 地域共通クーポンには、「紙のクーポン」と「電子クーポン」の2種類あるが、電子クーポンの場合、チェックイン当日の午後3時以降、スマートフォンで予約番号などを入力すれば、発行される。これを悪用し、電子クーポンだけ受け取ってチェックインせず、宿泊料やキャンセル料を支払わない事例が相次いでいるのだ。 実際に被害に遭った、都内高級ホテルの幹部が嘆く。 「10月中旬、1部屋10万円近くのお部屋を4部屋、4泊分の予約が入ったんです。チェックインは夜10時頃とのことでしたが、時間になっても姿を見せず、何度電話をかけても出ない。そこでお客さまの住所を調べてみると、実在しないものだった。メールアドレスもいわゆる“捨てアドレス”で『やられた!』と」 実は、こうした被害は、旅行予約サイトの「るるぶトラベル」を経由した予約に集中しているという。
国交省関係者が指摘する。 「るるぶトラベルと他の旅行サイトとの決定的な違いは、予約の際に会員登録もクレジットカード情報も要らないこと。そのため、偽名や嘘の住所で予約することが簡単にできてしまうのです」 警察も、「るるぶトラベル」などを利用した手口について把握しており、偽計業務妨害罪などで捜査を進めている。 JTBは以下のように回答した。 「警察に相談中の案件ですので、回答を差し控えさせていただきます」 GoToトラベル事業を所管する観光庁は以下のように回答した。 「オンライン予約サイトを通じた現地払い予約で無断キャンセルがあった事例は承知しています。本件について、具体的なお答えは差し控えますが、仮に不正使用の場合には、警察と連携して対応していくこととなります。対策については、事務局、旅行会社等と連携しながら既に進めているところです。対策の具体的な内容については、セキュリティ上の観点からお答えは差し控えます」 政府は来年1月末に期限を迎えるGoToトラベル事業について、実施期間を延長する方向で調整に入っている。だが、電子クーポンの相次ぐ不正取得という刑事事件にも発展しかねない事態に、「るるぶトラベル」など予約サイトのあり方やクーポンの発行方法を見直す声も高まりそうだ。 11月5日(木)発売の「週刊文春」では、1カ月で約400万円の無断キャンセル被害に遭ったホテルの証言や、“菊池桃子の夫”が主導した経産省のサプライチェーン補助金を巡る問題、予算編成の責任者でもある財務省・太田充事務次官との一問一答など、巨額の予算が投じられた政府の経済対策のあり方について徹底検証している。
文春オンラインより転用
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