データミックスは企業間取引・企業経営に必須なビジネスニュース、政治・社会ニュースを配信しています

お名前ドットコム

コロナで大量発生「服の在庫処分」にみる業界の地殻変動


新型コロナウイルスの感染拡大で、アパレル業界が苦境に立たされている。外出自粛で小売店の販売が落ち込み、大量の売れ残りが発生したためだ。「大量生産のツケ」とも言える在庫処分の現場を訪れると、コロナだけでは説明できない業界の構造変化も垣間見える。【毎日新聞経済プレミア・杉山雄飛】   10月下旬、大阪市西成区の倉庫にはシャツやスカートなど全国から集まった売れ残りの服が段ボールに入ってうずたかく積まれ、従業員らは商品の検品やブランド品を示すタグの切り取りを手際よくこなしていた。倉庫は同市中央区の「shoichi(ショーイチ)」が運営している。  同社はメーカーの売れ残りを定価の1割ほどで買い取り、東京、大阪など14カ所の直営店などで格安で販売している。ブランド品のたたき売りはメーカーのイメージを傷つけるため、販売前に自社のタグに付け替える。こうした厳格な管理がメーカーからの信頼を集め、2000社以上から在庫を引き取ってきた。  ◇引き取り量が倍増  山本昌一(しょういち)社長は「今年はコロナの影響で春物の服が売れず、6、7月の引き取り量は例年の倍以上になった」と語る。昨年8月に取材で倉庫を訪れた時は、空間に余裕を感じられたが、今は見上げるほどに段ボールが積まれている。  同じブランドロゴの箱がいくつも積み重なる光景を目の当たりにして「売れるか分からないのにこんなに作らなくても」と感じた。倉庫を案内してくれた同社営業部の野崎陸さん(25)も「今は秋の決算期の処分に合わせて在庫が流れ込んでいる。昨年と比べたらものすごい量」と語る。  新型コロナは、百貨店などのアパレル小売店を営業自粛に追い込み、メーカーの経営を圧迫させた。5月には紳士服「ダーバン」などを展開する老舗レナウンが経営破綻。オンワードホールディングスは2021年2月までに約700店を閉鎖する。東京商工リサーチによると、今年4~9月に倒産した3858社(負債額1000万円以上)のうち、アパレルを含む繊維業は245社に上った。  ショーイチの山本社長は「引き取る商品の量は倍増したが売り上げは例年並み。残念ながら弊社の在庫量は増えている」とこぼす。それでも「アパレル業界が大変な中、うちが在庫を引き取るぐらいはやらないと。短期的な目線は捨てて、『在庫に困ったらショーイチに電話』というインフラ的な存在になれれば」と覚悟を決めていた。  ◇シーズン前に大量生産  そもそも季節ごとに商品を入れ替えるアパレル業界では、シーズン前に流行を予想して商品を生産する。近年では価格を抑えた服を大量生産するファストファッションが潮流となっている。  経済産業省によると、国内のアパレル商品の供給量は1990年代初頭で約20億点だったが、2010年には約40億点に倍増した。一方、国内のアパレル市場は15兆円から10兆円規模に縮小、大量生産による「売れ残り」も増加したとみられる。  昨年取材した都内の産業廃棄物会社の社長は「有名ブランドの在庫を年間100トン以上焼却している」と明かした。無断転売や違法投棄によるブランドイメージの悪化を避けるため、メーカーの担当者が処分時まで立ち会うことも多いという。今回、コロナ禍での業界の裏事情を聞こうと再びこの会社に取材を申し込んでみたが、なぜか社長と連絡がつかなかった。  ◇「捨てる会社が減っている」  しかし、在庫の増加はコロナ禍だけが原因ではないようだ。山本社長は「在庫を焼却処分するなどの『捨てる会社』が目に見えて減ってきている。今は一部のハイブランドだけで、サステナブル(持続可能)な方向に進もうとしている」と業界の変化を感じている。  分岐点となったのは、18年の英高級ブランド「バーバリー」による在庫廃棄の報道だ。数十億円分の商品を焼却処分していたことが明らかになり、国際的な批判を浴びた。それ以降、各メーカーも在庫処分に神経をとがらせるようになった。  バーバリーは毎日新聞の取材に「18年9月に在庫の廃棄をやめた。商品をニーズのある地域に移動させるなどしている」と説明。ユニクロなどを運営する「ファーストリテイリング」も「価格を下げたり、翌シーズンに繰り越したりして売り切っている。焼却などの廃棄はしていない」と説明する。  より前向きな動きもある。ユニクロは顧客が不要になった自社の服を回収し、新しい服に作り替える取り組み「RE.UNIQLO(リ・ユニクロ)」を9月にスタート。第1弾として、11月2日から国内での回収品62万着で作ったダウンジャケット(税別7990円)を販売し、今後も商品メニューを広げていくという。  ただ、ある業界関係者は「リサイクル品は製造費がかかるため、正規品より高価になりがち。環境意識の高い欧州では受け入れられるが、リーズナブルな商品を求める日本では厳しいだろう」と冷ややかな見方を示す。  ◇生産体制の見直しが必要  一方で、アパレル業界のマーケティングに詳しい大妻女子大の中島永晶教授は「今の業界は、服作りよりも在庫の圧縮が最大の関心事になった。今回のコロナを機に目先のトレンドに左右される生産体制を考え直すべきだ。翌シーズン以降も販売できる商品などで在庫を適正化しつつ、利益重視の経営にシフトする必要がある」と指摘し、業界の意識改革を促している。

 

毎日新聞


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

※日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。

注目他社記事一覧

第3弾 波戸崎崇の思惑と、利用される幹部陣 山下遥香、西岡勇成、船津裕隆の人生はどこへ(後編)

★契約書控え無し移籍金支払い期限無しで辞めたら契約不履行で契約金を払わない悪質スキーム 前編で書いた通り、波戸崎は高学歴で歯車思考の洗脳しやすい従業員を周りに置いているが、バルセロナグループ自体に信用がない為に現地採用の […]

コメントなし

第3弾 波戸崎崇の思惑と、利用される幹部陣 山下遥香、西岡勇成、船津裕隆の人生はどこへ(前編)

前回は、バルセロナグループの金融商品取引法違反やキャストの移籍金詐欺について詳しく述べた。今回は予告していた、西岡勇成、船津裕隆、の情報とバルセロナグループ波戸崎崇と山下遥香のSNSを使ったビジネスモデル(カルト宗教的勧 […]

コメントなし

第二弾 バルセロナグループの黒い噂 可哀想な金魚(移籍したキャバ嬢20名)後編

か弱き金魚達は完全なる被害者であり、バルセロナが撤退した後は中洲の各お店で受け入れるだろう。繁華街で生き抜いた人々にはそのような寛容な思考がある。1人として働きにくいと感じさせてはいけない。元の店に戻りにくいように裏切ら […]

コメントなし

第二弾 バルセロナグループの黒い噂 可哀想な金魚(移籍したキャバ嬢20名)前編

列島は台風が去り徐々に熱気と湿度が下がりつつある。第一弾から調査している実際の内装費はいくらなのか?我々はネットワークを駆使し、オオモ◯総建社員の証言のもと、実質内装費「税抜1.5億円」と確認した。 また、波戸崎氏がソフ […]

コメントなし

第一弾(後)波戸崎崇の投資話と洗脳手法に騙される中洲の人たち

前述の会社ぐるみで一般のキャストに自分達の投資を伏せて、あたかも自分達が特別扱いされてると感じでいる投資者(キャバ嬢)が正に騙されているのだ。調べるほどバルセロナという会社は詐欺と欺瞞、嘘で固められたマルチ詐欺集団のよう […]

コメントなし

注目他社記事一覧

独自記事

【松本昌大】アフターコロナシリーズEP2~事件師たちを追う~

2024年の日本の選挙、いやー大波乱でしたね!自民党がまさかの過半数割れ。とはいえ「まあ、そうなるよね」と予感してた人も多いでしょう。世の中、どこにでもある「不信感」。これが政治だけじゃなく医療福祉業界にも広がってるんで […]

【松本昌大】アフターコロナシリーズEP1~事件師たちを追う~

昨年、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行した。今年に入り日本ではプロ野球よりメジャーリーク大谷の話題で日本が明るくなり活気が戻ってきた。活気が戻りつつ街が賑わえばやはり増え […]

コメントなし

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第5弾)

株式会社ブランニュープランニングの終りの始まりが来た。 民事再生という逃げ道をとった村田晃士氏 登記簿(関税人の名前消して) 3月末に動きがあった。私共データミックスの情報が嘘ではないことを証明した内容だ。(株)ブランニ […]

1件のコメント

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第4弾)

2024年、石川県能登半島での大地震から始まってしまい、衝撃的な令和六年のスタートに不安を感じたが、被災者の皆さんの行動力や頑張りに胸を打たれながらの2ヶ月でした。特に心苦しいのがこんな大変な状況なのに発生してしまうのが […]

2 comments

詐欺師か?ただの無能経営者か?行橋が生んだ経営者一家 村田晃士を追及する(第3弾)

今年も残すところあとわずかとなりましたが、いかがお過ごしでしょうか。 アメリカは大谷翔平選手移籍の話題で盛り上がる中、わが国では政治家の裏金問題が岸田政権を揺るがす事態となっています。 今から来年のことが心配になっている […]

コメントなし

独自記事一覧

石川の一撃

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?ゴルフ場を巡る攻防「尾崎朝樹氏・田原司氏と児玉氏との関係性は?」(第11弾)

中国で発生した新型肺炎は終息する兆しがなく、世界中で猛威を振るいつつあります。 暖かい季節になってきましたが、読者の皆様も健康管理など、くれぐれもご留意ください。 前回、ザ・クイーンズヒルゴルフクラブ(以下クイーンズヒル […]

4 comments

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?ゴルフ場を巡る攻防「田原司氏と児玉氏との関係性は?」(第10弾)

温暖化と言われる時代ですが、やはり寒い季節ですね。 読者の皆さん風邪など引かないようにしてくださいね。 児玉氏の毎年の様にお友達と行われるマックスゴルフコンペ動画を見て 貴殿のスイングに目を奪われましたよ。 それに加え「 […]

1件のコメント

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?役員構成変更そして今後のI・Bは?(第9弾 後編)

豪雨、台風と今年も不安定な夏でしたが、やっと涼しくなってきました。 東京五輪もいよいよあと1年となりましたが、読者の皆様はいかがお過ごしでしょうか。 (取締役 児玉崇氏) 前回はデータ・マックス社の度重なる役員構成変更に […]

コメントなし

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?さらなる役員構成変更の意図は?(第9弾 前編)

梅雨が明け真夏日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか? 昨年にも増して暑さが厳しく感じられますね。 しばらく酷暑は続きそうですが、読者の皆様もお体に気をつけてお過ごしください。 さて、昨年も報じてきた「データ・マ […]

コメントなし

「NetIB News」「データマックス」は善か悪か?信念か金か?(第8弾 後編)

後編 「役員構成変更に見え隠れする児玉氏の未来図とは」 前編に続いてデータ・マックスグループの役員構成について考えた。 ※同役員構成については、「NetIB News」「データ・マックス」は善か悪か?信念か金か?(番外編 […]

1件のコメント

石川の一撃記事一覧

Copyright© 2017 データミックス All rights reserved.