ワンストップで海外企業誘致 福岡市が支援施設 国際金融センター構想に弾み
- 企業・経済
- 2020年10月21日
20日開設されたグローバルファイナンスセンターの関係者ら
日本に世界の金融ハブ(拠点)をつくる政府の「国際金融センター構想」をめぐり、福岡市は20日、海外企業の日本進出のサポートや一連の手続きをワンストップで担う「グローバルファイナンスセンター」(GFC)を同市中央区の創業支援施設「福岡グロースネクスト」(FGN)に開設した。政府内では税制改正や在留資格新設などの検討も進むが、高島宗一郎市長は「スピード感を持って、できるところから動いていく」と述べ、まずは既存の枠組みで支援策を充実させる考えだ。(九州総局 中村雅和)
GFCは、海外の金融関連企業が福岡市で拠点を設立するにあたり、スタッフらのビザ取得や各種補助金の申請など業務関係の支援に加え、滞在中の住宅、医療など生活面をサポートする。相談内容に応じて弁護士や税理士などを紹介する。言語は英語や中国語、スペイン語に対応する。
業務はすでにFGNでの創業支援に携わっている4人が担当。日本で唯一の外国為替銀行だった東京銀行=現三菱東京UFJ銀行=出身者ら金融や海外経験が豊富な人材がそろっている。
世界からヒト、モノ、カネを集める国際金融拠点の形成は、菅義偉首相も重要課題と位置付け、「スピード感をもって取り組む」と強調している。もともとニューヨークやロンドン、香港に次ぐ存在だった東京の地位向上に加え、菅首相は「ほかの地域でも金融機能を高める環境をつくっていきたい」と述べ、福岡県のほかにも、意欲を示す大阪府などが競い合う環境づくりを狙う。高島氏は「望むところだ。相手にとって不足はない」と強気な姿勢を見せる。
その言葉通り、福岡市は矢継ぎ早に手を打っている。9月下旬には高島氏らの呼び掛けで政財学界の計16団体・企業をまとめた「TEAM FUKUOKA」(チーム福岡)を結成した。
GFC開設を発表した20日の記者会見には「チーム福岡」の会長に就いた九州経済連合会の麻生泰会長も同席。麻生氏はGFCについて、自身の海外展開での経験も踏まえ、「(現地の行政が)ワンストップで対応しますよということは、第一印象として歓迎姿勢が伝わる」と評価。さらに「スピード感が首長の大事なパワーであり、競争力だ。これが東京、大阪には絶対できない実行力だ」と強調した。
また、麻生氏は「財界としても、何か引き付けるものをつくっていかないといけない」と述べ、今後、九経連をはじめ、経済界としても福岡での国際金融拠点形成に向けた施策を始める考えを示した。
一言コメント
フットワークがいいね。
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