来年の大学入試に激震 2次試験の変更相次ぐ、横国大はとりやめ
- 政治・経済
- 2020年10月4日
個別試験で出題の範囲や形式を変更する大学は多い
新型コロナウイルス禍の影響を受け、多くの大学が来年度入学の大学入試で個別試験(2次試験)の実施方法を変更する方針だ。試験会場での感染を防ぐため、筆記や実技の試験をとりやめる大学が出たほか、長期の休校に伴う学習の遅れに配慮し、出題範囲の縮小や選択式問題を導入する動きも目立つ。しかし、こうした大学側の配慮を踏まえても、受験生の不安は払拭しきれず、志望動向には大きな影響が生じている。(玉崎栄次)
大きく選抜方法を変えたのが横浜国立大だ。経済や理工などの4学部では、来年1月に実施される大学入学共通テストの後に数学や外国語などの個別試験を課す予定だったが、それぞれの教科を共通テストの成績で判定することにした。
教育学部では、専攻分野に応じて課されるはずだった音楽や美術、体育の実技試験をとりやめ、作品や実演の写真や動画などの提出物で合否を決めるという。
入試担当者は「入学後に学力の不足があれば、補習を設けるなどしてサポートしていく」と説明する。
文部科学省が実施した国公私立大計767校(国公立174校、私立593校)を対象にした調査(9月16日時点)では、国公立96校、私立304校の半数を超える大学が休校による学業の遅れに配慮し、出題範囲に制限を設けるなど何らかの工夫をすると回答。また、国公立の148校、私立の181校が追試を設けるとしている。
例えば、東京外国語大は前期日程で外国語と地理歴史(日本史か世界史を選択)の2教科の筆記試験を行うが、地歴の出題を履修上で「基本的な事項」とされた内容にとどめる。
一方、京都大や上智大、中央大などは、難易度の高い「発展的な学習内容」を出題する場合には注釈や補足を記載する。室蘭工業大のように、高校3年で習う数学に限り選択式を導入するケースもある。
ただ、代々木ゼミナールの佐藤雄太郎・教育事業推進本部長は「出題範囲の配慮や追試などが、受験生の不安を解消する効果は限定的だろう」と指摘する。
実際に学校現場では、一般選抜を目指していた生徒が不安に駆られ、11月に出願が始まる学校推薦型選抜(旧推薦入試)に切り替える動きも目立つという。佐藤本部長は「当初から学校推薦型を考えていた別の生徒が志望校を変更するなど影響が連鎖的に広がっている可能性がある。入学後のミスマッチが増えないかも心配だ」と話した。
◇
■大学入試の個別試験(2次試験)
来年1月に2つの日程(16、17日と30、31日)で実施される大学入学共通テスト後に行われる。国公立大の前期日程は同2月25日から、後期日程は同3月12日以降に行われる。私立大の多くは同2月以降に予定している。
一言コメント
対策する受験生も大変だ。
コメントする