日本企業、事業売却加速へ コロナ禍「選択と集中」迫る
- 企業・経済
- 2020年8月21日
武田薬品工業が大衆薬子会社を米大手投資会社に売却する方向で最終調整に入った。非中核事業を売却し、主力の医療用医薬品開発に経営資源を集中する。新型コロナウイルスの感染拡大前から検討されてきたが、コロナ禍は日本企業に「選択と集中」を迫っている。今後は、投資ファンドへの事業売却の動きが加速しそうだ。
武田は海外での大型買収で5兆円超に膨らんだ有利子負債を圧縮するため、非中核事業の売却を進めている。大衆薬子会社の売却もこの一環だが、未曽有の不況の中で財務改善を急ぎ、成長分野への投資余力を確保する必要性が高まっている。
コロナを受けた政府の緊急事態宣言による経済活動停滞を受け、多くの企業が借り入れを増やしたり、将来の資金需要に備えて融資枠を設定したりした。この結果、資金繰り倒産の多発という事態はかろうじて回避されている。
ただ、コロナ前から多くの負債を抱え、借り入れ余力の乏しい企業では事業や資産の売却を迫られるケースが出ている。「いきなり! ステーキ」を展開するペッパーフードサービスは7月、安定した利益を生み出していた「ペッパーランチ」事業を投資ファンドに売却すると発表した。
投資ファンドには世界的な低金利を背景に、高利回りを求める機関投資家の資金が流入。投資先の選定を加速させているファンドが、事業売却の受け皿として有力視されている。目的が企業の存続であれ、成長分野への一段の投資であれ、今年秋以降は「日本企業の事業の売却や再編が進む」(金融関係者)可能性が高い。
一言コメント
企業の動きも慌ただしくなりそうだ。
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