五輪公式グッズ、業者苦悩 延期「商機」と攻勢も
- 企業・経済
- 2020年7月26日
江戸扇子を作る松井宏さん。東京五輪公式商品の新作を考案している=20日、東京都江戸川区
開催を1年後に控えた東京五輪。
新型コロナウイルスの影響による大会延期は、公式グッズ関連業者にも影を落とす。業者らは売り上げ減に苦しむが、大会までの1年間を商機と捉え、新商品開発などに取り組む動きもある。
大会組織委員会によると、「組市松紋」の大会エンブレムなどが入った公式ライセンス商品は、6月末時点で約6360種類。各地のさまざまな伝統工芸品も多く含まれる。組織委は「オンラインショップの売り上げは順調」と強調するが、公式商品を販売するオフィシャルショップは、新型コロナの影響で銀座店など6店が閉店。延期前から決まっていたケースもあり、8月中にはさらに17店が閉店となる。
「二重どころか三重、四重の、いろんな苦悩があった」。公式グッズの一つ「白河だるま」を手掛ける「白河だるま総本舗」(福島県白河市)14代目、渡辺高章さん(28)は今春のコロナ禍を振り返った。
白河だるまは、顔の中に「鶴」「亀」「松竹梅」が描かれた縁起物として知られる。観光地向けの商品提供が多いため影響は甚大で、4月の売り上げは前年同月比8割減に落ち込んだ。店頭に置いた公式グッズも、「五輪が遠くなったので関心が低くなった」ため、売り上げは低迷している。
それでも販路開拓などに取り組んだ結果、業績には回復の兆しが見えている。来年4月には新たな観光施設をオープンさせる予定で、「公式グッズを新店舗で大々的に扱える。だるまのように転んでも起き上がる」と意気込む。
「幸か不幸か、商品を提供できる時間が増えた」。約50年にわたり江戸扇子を作り続ける「扇子工房まつ井」(東京都江戸川区)の松井宏さん(73)は、年内の販売開始に向けた公式商品の新作を考案している。松井さんは「アスリートは競技で、われわれは伝統工芸品で五輪に参加する。(来年の開催は)できる」と、自らに言い聞かせるように力強く語った。
同社が作った扇子などの販売促進を手掛ける「マイスタープロモーション」(同)の三村英夫社長(70)は、「世界の模範になるようなコロナ対策を講じ、来年は本当に開催してほしい」と要望した。
一言コメント
本来なら今頃盛り上がっていたはずなのに…
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