ワタミが60~80店規模の閉店へ、コロナで居酒屋閉店ラッシュ【スクープ】
- 企業・経済
- 2020年5月27日
ワタミは、不採算店の整理で「脱・総合居酒屋」を目指す Photo by Koyo Yamamoto
新型コロナウイルスの影響で窮地に陥っている居酒屋業界。居酒屋チェーン大手のワタミが、全店舗の2割弱にあたる60~80店舗を閉鎖する方針を固めたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。コロナを契機に不採算店の整理に着手し、収益性を改善させ生き残りを目指す。コロナショックで居酒屋の閉店ラッシュは今後も続きそうだ。(ダイヤモンド編集部 山本興陽) 居酒屋チェーン大手のワタミが、国内で展開する全491店の2割弱にあたる60~80店舗を閉鎖する方針を固めたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。 ワタミの4月の既存店売上高は前年同月比7.5%と、売り上げの9割以上が“蒸発”した。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、外食業界の中でも居酒屋業態は苦戦が続いている。不採算店の整理を進めることで収益性を改善させ、生き残りを図る。 ワタミは4月13日から、国内で直営する全国約400店で臨時休業していた。緊急事態宣言の解除に伴い徐々に営業を再開させ、6月1日からは全体の約8割の店舗で営業再開する計画だ。そして、営業再開しない店舗は閉店作業を前提に進めていくといい、「ミライザカ」や「和民」といった総合居酒屋業態の店舗が中心になる見通しだという。
ワタミは1984年に渡邉美樹氏が創業。2013年3月期には売上高が1578億円、営業利益が93億円に達した。だが、13年に渡邉氏が参議院選挙に出馬するために会長を辞任して以降、業績は低迷。15年3月期は最終赤字127億円へと転落した。 そして19年10月、渡邉氏が会長兼CEO(最高経営責任者)として復帰。それ以降は「脱・総合居酒屋」を打ち出し、最近では持ち帰りが中心の唐揚げ専門店「から揚げの天才」の出店を強化している。 加えて外食以外の事業拡大にも取り組んでおり、5月20にはIT bookホールディングス傘下の人材派遣会社i-NEXTを買収して「ワタミエージェント」を設立。休業などで働けない外食店舗の従業員に派遣先を提供する、人材派遣事業に参入した。 19年3月期の売上高は947億円、営業利益は11億円だったが、28年3月期には売上高2000億円、営業利益100億円という目標を掲げる。達成には外食事業の立て直しが急務で、コロナを機に不採算店の大量閉店に着手する。 日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査」によれば、4月の外食全体の売上高は前年同月比60.4%と約4割減少し、調査開始以降、過去最高の下げ幅となった。とりわけ午後7時以降の酒類の提供の自粛を要請された居酒屋業態は同9.7%と厳しい状態だ。 5月25日に全国で緊急事態宣言が解除されたものの、企業の宴会自粛は続くことは予想され、「居酒屋の客足の戻りは遅い」と業界関係者はみる。また“三密”を避けるべく、店舗では席を間引くなどの対応を迫られており、通常営業に戻ったとしても客席稼働率が下がることは避けられず、多くの店舗は赤字の垂れ流しに陥ることが想定されている。 居酒屋大手では、「北海道」や「甘太郎」などを展開するコロワイドも、全直営店の1割強にあたる196店舗を閉鎖することを5月22日に発表した。居酒屋の閉店はこれからも続々と出てきそうだ。
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