新型コロナ 福岡市独自で100億円支援策 休業要請実効性確保、県に対応促す
- 政治・経済
- 2020年4月15日
新型コロナウイルス対応の緊急事態宣言に伴う福岡県の休業要請が始まった14日、福岡市は、市内の中小企業への家賃補助や医療・介護関係者への給付金支給など総額100億円の独自支援策を公表した。要請の実効性を高め、感染の収束を狙う。高島宗一郎市長は「現在は平時ではなくて有事、国難。財政状況に余裕はないが、今はお金を出すときだ。力を合わせて、短期集中で(感染を)終わらせよう」と呼びかけた。(九州総局 中村雅和)
一連の支援策は、休業要請に協力した施設・店舗への補助と、医療・介護関係者らへの給付の二本柱からなる。中小企業向けの家賃補助は、50万円を上限に賃料の8割を補助する。人件費などは、国が拡充した雇用調整助成金制度の活用を呼び掛ける。
その上で、「3密」(密閉、密集、密接)が営業の前提となるライブハウスには、無観客ライブの配信用機材導入費などとして50万円を上限に追加給付し、飲食店のデリバリーサービスで1回千円以上を利用した際、500円分のポイントを還元するか、クーポンを発行する。閉塞(へいそく)感が強まる市民生活に、感染の拡大防止を図りながら、文化や食を通じた娯楽の提供を維持する考え。
一方、感染リスクにさらされながらも対応にあたる医療や介護、保育、福祉事業者や従事者には、特別な給付金制度を創設する。
いずれの施策も、実施期間は緊急事態宣言が発効した今月8日から5月6日までの約1カ月間で、財源は国の臨時交付金を充てるか、財政調整基金の取り崩しで対応する。手続きは極力簡易になるように配慮する。
市は補正予算案を30日開会予定の市議会臨時会に提出し、可決後速やかに実行できるよう、準備を進める。
高島氏は「虚偽申請を防ごうと膨大な手続きを行うことは有事の対応ではない。申請主義を採る」と語った。
緊急事態宣言発効に前後して、市は一連の施策の検討を進めてきた。ただ、政令指定都市として国と直接調整することが多い通常の対応と異なり、県が権限を持つ緊急事態宣言下での調整は「とてももどかしい」(高島氏)場面が多かった。
13日に休業要請の決定に踏み切った県による支援策が見通せない中、市は独自の施策をすぐさま公表した。休業要請の実効性を高められる「オール福岡」体制を早期に築くため、県に対し、県内の他自治体も同様の施策を実施できるよう財政面での支援など対応を促した形だ。
一言コメント
財政力のあるところは対応も早い。
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