熊本県の復興基金、2割まで目減り 残り108億円の使途焦点
- 政治・経済
- 2020年4月13日
熊本地震の被災者支援で熊本県が創設した復興基金523億2千万円を活用した事業が、2020年度末で累計415億円に達することが11日、県のまとめで分かった。残高は108億円で、制度開始から約4年で2割まで目減りする見通し。残高には「新たな課題に備える」として県があらかじめ確保している50億円も含まれており、今後の使途が焦点となりそうだ。
復興基金は、既存の公共事業では対応できないきめ細かな被災者支援が目的。政府が配分した特別交付税510億円と被災地支援の宝くじ交付金13億2千万円を財源に創設された。
最も多い使い道が小規模な「宅地復旧」で、20年度は22億円を計上した。累計は131億円となり、全体の3割を占める。対象は、擁壁や地盤の復旧、家屋の傾斜修復など。1戸単位では通常の公共事業の対象ではないため、基金で工事費から50万円を引いた残額の3分の2を補助する。
県によると、擁壁や地盤、法[のり]面の復旧と傾斜修復の補助決定済みは2月末現在、累計4950件となった。当初、宅地復旧全体で123億円と見込んでいたが、県建築課は「件数が想定より数百件増えそう。労務単価の上昇も事業費を押し上げている」と説明する。
17年度には、被災30市町村が自由に使途を決められる「創意工夫枠」として基金から100億円を配分した。このほか、地域コミュニティー施設の再建支援や農家の自力復旧支援など「その他事業」が93億円、仮設住宅からの転居費助成など「住まいの再建関連」が91億円となっている。
基金の活用状況について、県財政課は「復旧復興が進んで必要な事業の全体像が見えつつあり、基金不足に陥る事態は考えていない」と分析する。
一方、残高のうち県が確保している50億円の使い道は決まっていない。庁内では、熊本空港アクセス鉄道整備の財源に充てる案も選択肢の一つに挙がるが、同課は「宅地復旧など利用実績が膨らんでいる事業の動向をみながら、50億円の使途は慎重に見極めたい」としている。
一言コメント
金も時間も無駄なく使ってほしい。
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