株安連鎖、底なしの様相 アベノミクス崖っぷち、景気後退懸念〔深層探訪〕
- 企業・経済
- 2020年3月15日
世界的な株安の連鎖に歯止めがかからない。新型コロナウイルスの感染拡大で景気後退の懸念が増大し、金融市場は激しく動揺。12日のニューヨーク株式相場の暴落に続き、日経平均株価も13日、前日に比べ1128円下落し、底なしの様相を呈している。政府・日銀内には手詰まり感が漂い、アベノミクスは崖っぷちに立たされている。
◇金融危機に近い状況
中国などアジアが中心だった新型コロナの感染が中東や欧米に広がり、世界保健機関(WHO)は11日、「パンデミック(世界的流行)」と表明した。感染を封じ込めようと世界各国が入国制限やイベントの自粛要請などを打ち出し、「経済活動を滞らせ、景気にブレーキをかける」(大手証券)と投資家心理が冷え込み、世界の株式市場は売り一色となった。
外国為替相場は一方的に円高が進む展開にはなっていないが、手放しで歓迎できる状況でもない。市場関係者は「株価の急落でドルの需要が高まり、金融危機に近い状況だ」と説明する。海外を中心に企業には資金繰り不安から基軸通貨のドルを手元に確保しておきたいとの思惑があり、ドルの需給が逼迫(ひっぱく)しているという事情がある。
◇20兆円の補正予算
国内景気は消費税増税などの影響で2019年10~12月期の実質GDP(国内総生産)が年率換算で前期比7.1%減と市場の予測を超える大幅なマイナスとなった。さらに新型コロナが追い打ちとなり、民間エコノミストからは既に景気後退局面に入った可能性が高いとの指摘が出ている。
増税に伴う駆け込み需要の反動減が和らいで20年1~3月期に回復に向かうという政府のシナリオは崩れた。10日に緊急対応策第2弾を取りまとめたばかりだが、政府・与党は4月にも第3弾となる経済対策を策定することを検討。20年度補正予算案の編成も視野に入れ、規模は10兆~20兆円とする案が浮上している。
子育て世代へ現金を給付する案も取り沙汰されている。しかし、貯蓄に回るだけで消費刺激の効果を発揮しない可能性がある。経済官庁幹部はイベントの中止・延期などが広がっている点に注目し「リーマン・ショック後とは状況が異なる。現在の危機に見合った処方箋が必要だ」と強調する。
◇株高揺らぎ正念場
米英が緊急利下げに踏み切る中、日銀は18、19の両日、金融政策決定会合を開く。ただ、既にマイナス金利を導入している日銀は欧米の中央銀行に比べ金融緩和の余地が限られる。決定会合では市場安定化策を打ち出す見通しだが、株安の連鎖を食い止められる保証はない。
大胆な金融緩和と積極的な財政出動を推進するアベノミクスの象徴が円安・株高だった。それが大きく揺らぐ今、安倍政権の経済財政政策運営は正念場を迎えている。
一言コメント
パンデミック後は不況がやってくるのだろうか…
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