イオンやユニクロ休業、JTBツアー中止…現地の日本企業対応急ぐ
- 企業・経済
- 2020年1月25日
中国で24日、春節(旧正月)の大型連休が始まった。国内の百貨店などは買い物客が増える書き入れ時として期待する。一方、中国で発生した新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大し、受け入れ側は警戒している。
東京・銀座の百貨店「松屋銀座」は24日午後、大勢の中国人客でにぎわった。春節期間中は免税品の売り上げが通常より10%伸びるとみている。
30日までの期間中、中国人の多くが帰省や旅行で移動する。国外で過ごす人も多く、昨年の春節期間を含む2月は約72万人が日本を訪れた。近年は半数近くがリピーターだ。
最近では「爆買い」が影を潜め、比較的安い日用品を買う人が増えた。ビックカメラでは化粧品やカラーコンタクトのほか、ドライヤーなど1万~2万円の美容家電が売れている。
体験型の「コト消費」も人気だ。買い物や温泉を楽しむだけでなく、カプセルホテルでの宿泊や、人気アニメなどのゆかりの地を訪ねる「聖地巡り」にも関心が高まっているという。
新型肺炎の感染が広がるが、「発生は武漢が中心なので、春節商戦への影響は限定的だ」(百貨店関係者)という見方が根強い。
感染を防ぐための取り組みも広がる。東武百貨店池袋店(東京都豊島区)は23日から、従業員にマスクの着用を認めている。マスクでの接客に理解を求めるポスターも貼った。
帝国ホテルでは、体調が悪くなった場合は速やかに伝えるよう、日本語と英語、中国語で呼びかける案内文を客室に置いた。チェックインの手続きでは、経由地を書いてもらうことを徹底している。
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中国・武漢市を中心に新型コロナウイルスによる肺炎の感染が拡大しており、日本企業は現地での休業や衛生管理の徹底、渡航自粛といった対応を急いでいる。
イオンは武漢市内のショッピングセンター3施設について、食品や生活用品を扱う総合スーパーは営業を続けるものの、他のテナント部分は24日から26日まで営業を休止する。公共交通機関が停止し、出勤できなくなる店員がいるためだ。
ファーストリテイリングも23日から、市内にあるカジュアル衣料品店「ユニクロ」の全17店舗で臨時休業している。
武漢市に支店があるキヤノンや三菱UFJ銀行は、現地社員にマスクや消毒液を配布し、手洗いやうがいの徹底を呼びかけている。
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、武漢には約160の日系企業が進出しており、長期出張者や留学生を含めると500~600人の日本人が住んでいる。
ホンダや神戸製鋼所は、武漢市への渡航を禁止した。合弁企業がある日本製鉄は急ぎではない出張を控えるよう社員に通知した。
感染は中国各地に広がっており、武漢市に拠点がない企業も従業員の支援に動いている。三井住友海上火災保険は、マスク8000枚と消毒液100本を上海の拠点に送る。
観光・運輸業界にも影響が出てきた。武漢市の空港の運用停止に伴い、全日本空輸は2月1日まで、格安航空会社(LCC)の春秋航空日本も2月末まで、日本国内と結ぶ便をそれぞれ欠航する。JTBは三国志の舞台となった古戦場などを訪れるツアーについて、2~3月に予定されていた3回分の中止を決めた。
一言コメント
日本経済にも影響を与えそうだ。
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