菅官房長官、揺らぐ足元 周辺不祥事、「桜」対応に批判
- 政治・経済
- 2020年1月6日
安倍政権の屋台骨を担う菅義偉官房長官の足元が揺らいでいる。
自身に近い2閣僚が「政治とカネ」の問題で辞任したのに加え、首相主催の「桜を見る会」をめぐる対応で批判を浴びた。自身が推進してきたカジノを含む統合型リゾート(IR)事業も汚職事件で逆風にさらされている。新元号「令和」発表を機に「ポスト安倍」に浮上したが、求心力低下もささやかれている。
「大変失礼しました」。菅氏は昨年11月29日の記者会見で冒頭の発言の段取りを誤り、閣議の概要を読み上げることなしに記者に質問を促した。同様の読み飛ばしは、その後の会見でも複数回あった。
桜を見る会の問題で野党の厳しい追及を受けていた中でのミス。菅氏は周囲に「権力の重圧には慣れている」とうそぶいたが、表情には疲れがにじんだ。
新元号発表で「令和おじさん」として知名度を高めた菅氏は、昨夏の参院選で全国行脚して自民党の勝利に貢献。党内の無派閥若手による「ガネーシャの会」など自身を囲むグループの存在感も増した。
だが、ここにきて周辺で不祥事が続いた。昨年9月の内閣改造で菅氏が入閣を後押ししたとされる菅原一秀前経済産業相と河井克行前法相が1カ月半程度で相次ぎ辞任。首相補佐官でありながら菅氏の5月訪米に同行した「右腕」の和泉洋人氏は女性問題で批判を受けた。
桜を見る会の問題では、会見での返答に対してぶれや説明不足を指摘された。答えに窮し、事務方からたびたびメモの差し入れを受ける場面もあった。政権内で会見対応の安定感に定評があっただけに、菅氏は「(桜という漢字は)見たくも聞きたくもない」と思わずこぼした。
IR事業をめぐり国会議員らが贈収賄容疑で逮捕されたが、菅氏は「必要な準備を進めていきたい」と2020年代半ばにIR開業を目指す方針を堅持。しかし、与党内では事件の行方や世論の動向によっては政府のシナリオが狂いかねないとの見方が出ている。
政権発足以来、数々の危機を乗り越えてきた菅氏が苦しんでいる状況について、自民党の閣僚経験者は「相次ぐ問題を抑えきれないほど力が弱まってきたのではないか」と指摘している。
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