ウイスキー、投資対象に 希少品価格、日本産も高騰
- 政治・経済
- 2020年1月3日
【ロンドン時事】琥珀(こはく)色のお酒は今や投資対象―。
希少価値が高いウイスキーの価格が近年高騰している。逸品に投資するファンドも登場し、多くの愛飲家にとって高級品は手の届かない存在となりつつあるようだ。
「ウイスキーのシングルモルトはワインに取って代わった。人々は保管庫を充実させるためにすごい金額を費やしている」。英不動産大手ナイトフランクのサミ・ロバートソン氏は2019年版の富裕層に関する報告書でこう指摘した。
希少なウイスキーの平均的な価格動向を示す「APEX1000指数」は、14年12月末からの4年半で約2.6倍の水準に到達。同期間の英国のFT100種平均株価指数の上昇率(13.1%)と比べると、収益性の高さが際立つ。
特に極めて貴重なウイスキーの競売落札額はうなぎ登り。世界で40本しかないとされる「マッカラン」の1926年に蒸留された60年物は、2018年10月には約85万ポンド(約1.2億円)だったが、翌月に約120万ポンド、19年10月に約145万ポンドと、史上最高値を更新し続けている。
高騰しているのは日本産も同様だ。19年8月にはベンチャーウイスキー(埼玉県)の「イチローズモルト・カードシリーズ」の54本セットが1億円に迫る金額で落札された。超高級でなくとも、品質の高いウイスキーは手に入りづらい。
株式や債券などのように、ウイスキーに投資するファンドも登場した。スウェーデン金融当局の認可を受けた「シングルモルト・ファンド」は投資家の資金を募り、希少な銘柄を購入。英国の「ウイスキー・インベスト・ダイレクト」は熟成過程で買い付けているという。
ウイスキーが投資対象となる背景には需給不均衡がある。生産には長期の熟成期間を要し、供給量が限られる一方で、アジアを中心に需要が急増している。ただ、本場スコットランドや日本の蒸留所が増産に乗り出し、世界の景気減速が目立つ中、今後も価格上昇が続くかは不透明だ。
一言コメント
飲むより売ったほうがいい!?
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