懸念拭えず、不備露呈 記述式、与党から政府に延期圧力 大学入試改革
- 政治・経済
- 2019年12月6日
政府が大学入学共通テストへの国語と数学の記述式問題導入を延期する検討に入った。
採点の公平性をどう担保するかなどの懸念が拭えず、与党から先送りを求める声が強まったためだ。ただ、英語民間試験に続く見直しは準備不足を露呈させた形で、野党は「制度の矛盾を政府自身が認めざるを得なくなった」と勢いづいている。
菅義偉官房長官は5日の記者会見で「文部科学省で課題解消に向け努力している。受験生が安心して受験できることを第一に対応していく」と述べた。自民党幹部は「延期せざるを得ないだろう」と語った。
英語民間試験の導入見送りを決めた11月1日以降、記述式試験についても採点基準の不透明さなど問題点が次々と浮上。主要野党は導入を中止する独自法案を提出するなど批判を強めた。
こうした状況を踏まえ、政府は採点業務を請け負う民間業者に対し、来年度の導入が本当に可能かどうか、年内に回答するよう要請。延期した場合の影響も含め、水面下で検討を進めてきた。
公明党の斉藤鉄夫幹事長は5日、萩生田光一文科相を同省に訪ね、来年度の導入延期を要請。萩生田氏は言質を与えなかったものの、公明党幹部は「目が真剣だった。延期の雰囲気は感じた」と満足げに語った。
自民党側は当初、「業者から返答がない段階で延期を決めたら契約不履行になる」(幹部)と、訴訟リスクを勘案して予定通りの実施を求める声が強かった。ただ、学校現場から広がる見直し圧力に、文科部会は5日、「受験生や家族の不安が高まっている」として適正な実施を求める決議をまとめ、6日にも政府に申し入れることを決めた。
野党は攻勢を強める構えだ。共産党の小池晃書記局長は会見で「公平性が全く担保されない試験だ、と中止を求めてきた野党の声に、政府も応えざるを得なくなった」と強調した。
一言コメント
受験生を混乱させないでね。
コメントする