九電社長「タブーは作らない」 収益力強化へ米で賃貸住宅事業、国内はホテル事業
- 企業・経済
- 2019年12月4日
九州電力は3日、国内外でホテルや住宅事業に進出すると発表した。米国で賃貸住宅を建設するほか、不動産ファンドへの出資を通じ、国内4都市でホテル事業に乗り出す。いずれも九電としては初めての取り組みで、本業の国内電力事業の先行きが不透明な中、収益の柱に育てたい考えだ。記者会見した池辺和弘社長は「国内の電気事業だけの会社から脱皮する。タブーは作らずにやっていく」と強調した。
(九州総局 中村雅和)
賃貸住宅は、米南東部・ジョージア州の州都アトランタ市の再開発エリアに建設する。現地はビジネス街から車で5分程度と利便性が高く、約4万平方メートルの用地で、オフィスビルや商業施設などをあわせた複合開発が進む。計画では、このうち約1万平方メートルに、プールやフィットネス施設なども併設する木造5階建ての賃貸住宅を建設する。総事業費は65億円で、九電が11月に設立した現地子会社と、三菱商事子会社などが共同出資する。
平均賃料は日本円で約20万円程度で、若年層の入居を見込む。九電では、一定程度入居が進んだ段階で転売して差益を狙う。さらに米国での経験を、他の海外住宅開発だけでなく、インバウンド(訪日外国人客)や外国人居住者が増加傾向にある国内の住宅市場にも活用したい考えだ。
ホテル事業では、国内不動産ファンド大手のケネディクスの私募ファンドに出資する。同ファンドは、福岡市博多区にこの日開業した「ホテルビスタ福岡」のほか、東京都豊島区、大阪市中央区、京都市南区の国内4ホテル(合計客室数650室)に投資。いずれも宿泊に特化し、最寄り駅から徒歩1~11分と利便性も高い。
池辺社長は「ホテルは地域のにぎわいの中心として観光産業発展につながる重要な施設だ。知見を得て、都市開発や街づくりに生かしていく」と語り、今後はホテル運営会社の買収もあり得るとの考えを示した。
省エネ技術の発展や人口減少などによって、九電の基盤である九州の電力需要は低下傾向だ。さらに、電力小売り全面自由化や電力市場改革などで、電力事業の先行きは厳しい。
九電は6月、令和12(2030)年度までに、連結経常利益を1500億円とし、このうち750億円を国内電力事業以外で稼ぐとする長期経営目標を発表した。
一言コメント
電力だけでは厳しいもんね。
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