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観光で「海の道」再興を 離島など乗客減の航路、九州運輸局が活性化支援


 国土交通省九州運輸局が、海上航路の活性化に本腰を入れている。九州には全国の4割に当たる132の定期航路が存在するが、離島航路を中心に、乗客減少で維持が困難な航路もある。一方、観光客の目線に立てば、陸路より移動時間が短縮できるなど、ポテンシャルの高いルートも多い。九州運輸局は、観光需要の掘り起こしで、「海の道」再興を進める。(九州総局 高瀬真由子)

有明海を97人乗りの高速船が行く。「三池島原ライン」は、福岡県大牟田市の三池港と、長崎県島原市の島原港を片道約50分で結ぶ。

この航路は、明治時代から100年以上の歴史を持つ。運航するやまさ海運(長崎市)によると、平成初期まで年間10万人を運んだが、近年の利用者は年3万人を切った。

それでも、仕事や買い物、帰省などで、地域住民の重要な交通手段であることは変わらない。

福岡市中心部から島原まで、鉄道を使った場合、乗り換えも含めて3時間以上かかる。この航路と鉄道を組み合わせれば、最短2時間15分で移動できる。合計運賃も安い。

だが、知名度不足から観光客の利用は限られていた。

九州運輸局は、同航路のグーグルマップ経路検索への登録を支援した。現在、外国人をはじめ観光客の移動に、スマートフォンの経路検索は欠かせないが、交通事業者が時刻表など情報を提供しなければ、画面には表示されない。九州運輸局管内の航路のうち、グーグルマップへの登録は25%にとどまる。

九州運輸局の支援もあり、三池島原ラインは4月、グーグルマップに表示されるようになった。1日4往復と限られた便数だが、表示以来、初めての客や、外国人旅行者が来るようになったという。

やまさ海運の伊達昌宏社長は「問い合わせも増え、長期的にはより効果が出てくると思う。乗客が減る中で懸命に手立てを打っている。観光客を取り込むことが今後の課題だ」と語った。

■突然の運休

九州運輸局は2月、海上航路の維持・活性化を図る支援推進本部を設置した。きっかけは平成30年10月、長崎・五島列島と長崎市などを結ぶ船会社が、経営悪化を理由に旅客船の運航を突然、休止したことだった。

離島航路は島民の生命線であり、休止は生活に甚大な影響を与える。

だが、事業者が置かれた経営環境は厳しい。

九州運輸局管内の29年度の旅客船の輸送実績は2205万人で、10年度の3395万人から35・1%減少した。離島航路の減少が顕著という。管内132定期航路の4割に当たる50航路が、維持のために国庫補助を受けている。

人口減少が続く中、九州運輸局は、観光に活路を見いだそうとしている。

その対策の一つが、グーグルマップ経路検索への登録だ。支援もあって4社6航路が完了し、ほか12航路で準備を進めている。

観光面でみると、有明海や鹿児島湾は、横断ルートをとれる船移動が、陸路より優位性がある。船からの景色も良い。さらに五島列島や天草(熊本)などは、観光客の増加が期待できる。

九州運輸局の推進本部は、事業者の経営状況の確認も進めた。短期的な経営破綻のリスクはなかったが、今後、経営改善の助言をしていく。

九州運輸局海事振興部旅客課の金平成市課長は「唯一の航路が突然運休となる事態を、防がなければならない。海路が観光客に移動の選択肢としてもらえるよう、情報発信や船内イベントの企画も提案したい」と語った。

■一つの経済圏

航路だけでなく、鉄道やバスも含めた公共交通は、人口減少で維持が難しくなった。交通業界では、さまざまな移動手段を組み合わせ、乗客の移動を円滑にする「MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)」が大きなテーマとなり、事業者の連携が進む。

航路だけでは難しくても、鉄道やバス事業者と協力すれば、誘客の可能性が大きくなる。

鉄道や道路網が未発達だった明治期まで、人々の往来は水上交通が支えた。海や川でつながる地域が一つの経済圏を形成し、歴史的な遺産もある。船から見る景色に、魅力的な周遊ルートのヒントがある。

産経新聞

 

 

一言コメント
そもそも島国だし、海を利用しない手はない。


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