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九州・山口地銀中間決算 最終利益、14行で減少 信用コスト膨らみ新たな収益源模索


 九州・山口8県の地方銀行の令和元年9月中間決算が12日出そろい、最終損益は21行中、14行が前年同期と比べて減益または赤字となった。融資先の業績悪化による信用コストの増加が重荷となる一方、有価証券の売買による益出しにも陰りがみえた。日銀のマイナス金利政策の影響で、厳しい環境が長期化する中、各行は新たな収益源の発掘に取り組んでいる。(九州総局 小沢慶太)

「去年の終わりから今年の初めにかけて、潮目が変わった」

山口フィナンシャルグループ(FG)の吉村猛社長は記者会見でこう指摘した。

山口FGの中間決算をみると、傘下の3行の信用コストが軒並み増加した。全体では前年同期比41億円増の62億円と、九州・山口の地銀グループで最多となった。

吉村氏によると、地域の人口減少による人手不足や事業承継の難しさが影響し、融資先の経営悪化が目立つようになったという。

平成28年に始まった日銀のマイナス金利政策は、今年で4年目に突入した。

貸出金利の低下は底が見えず、銀行本来の預貸業の収益環境は、悪化の一途をたどる。銀行本業のもうけを示すコア業務純益は、21行中、8割の17行が減少した。うち1行は赤字だった。

地銀にとって、冬の時代が続く。ここ数年をみると、景気回復に伴う融資先企業の業績改善による貸倒引当金の戻り益などが、業績を下支えしてきた。

しかし、西日本フィナンシャルホールディングス(FH)の谷川浩道社長は「その流れが逆転してきている」と指摘した。FH傘下の西日本シティ銀行は、前年同期比で信用コストが32億円も増えた。当初、令和元年度通期で35億円程度の信用コストを見込んでいたが、上期だけで近い額に達してしまった。

超低金利では、貸し出しによる利息収入が見込めない。各行は融資の「質」より、「量」に重きを置かざるを得ない。信用力が低めの「ミドルリスク企業」への融資を積極的に増やした。今中間期での信用コストの増加は、その反動といえる。

谷川氏は「昔はなかなか手を出さなかったミドルリスク先にも、積極的に融資した。そういう中で粉飾などいろいろな瑕疵(かし)があった」と語った。

地銀経営を支えるもう一つの柱、有価証券の運用にも限界が見える。

大分銀行は、株式や投資信託の売却益が、前年同期より大幅に減少した。その結果、最終利益が前年同期比50%減の23億円に落ち込んだ。高橋靖英常務は「今期の決算が、本来の実力だ」と述べた。

× × ×

マイナス金利政策に、終わりは見えない。

各行は厳しい環境は続くと覚悟し、構造改革による経費削減や、新たな増収策を模索する。

ふくおかFGは、長崎地盤の十八銀行との経営統合で収益基盤の強化を図る。加えて、地銀で初の取り組みとなるインターネット専業銀行の設立で、新たな顧客獲得を目指す。

ふくおかFGは通期決算の業績予想を下方修正し、最終利益を従来予想の1585億円から1485億円とした。ネット銀行設立への経費計上などが要因だ。柴戸隆成会長兼社長は「今後の持続的成長に向け、さまざま施策を打っている」と話した。

今後、既存の金融機関と新興ネット企業との垣根はさらに低くなる。異業種への進出や協業も含め、業界再編が予想される。

一方、投資余力の小さな地銀が、異業種に踏み出すのは難しい。地域経済を活性化させ、銀行本来の稼ぎを増やすほかない。

南日本銀行の最終利益は、中間期として4期ぶりの増益となった。信用コストの減少が主な要因という。

同行は「WIN-WINネット業務」と称し、販路開拓など、顧客へのコンサルティングに注力する。コンサル事業そのものの収入に加え、顧客を囲い込み、ともに成長を目指す。市坪功治常務は「苦しい事業者を支えていく。業績改善による信用コストの低減という面でも、効果が表れてきている」と話した。

産経新聞

 

 

一言コメント
地銀の冬は長くなりそうだ。


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