ポテチ生産 災害に強く カルビー、産地分散や品種切り替え進める
- 企業・経済
- 2019年9月24日
菓子製造大手、カルビー(東京)が、自然災害に負けない生産体制の構築を進めている。十勝地方への台風直撃で原料のジャガイモが不足し、2017年春に主力のポテトチップスが品薄となった「ポテチショック」の再発を防ぐためで、ジャガイモ産地の分散化や病気に強い品種への切り替え、担い手不足の農家支援などに力を入れている。
同社が国内で調達する生ジャガイモは、8割が道内産で、このうち6割が十勝産。16年夏に十勝で台風被害が起きた際には、同年の道内産の収穫量が1割減り、同社は翌17年春、ポテトチップスなど33商品の販売休止や販売終了に追い込まれた。
ジャガイモの調達を担う子会社カルビーポテト(帯広)は「ショック」は産地が集中していたため起きたと分析。17年以降、空知地方や宮城県などの水田地帯でジャガイモへの転作を推進している。全体に占める割合はまだ数%程度と小さいものの、この2年間で空知と宮城の生産量はそれぞれ3倍になった。
ジャガイモの品種改良にも取り組み、初めて自社開発した新品種「ぽろしり」の栽培も本格化。病気に強く、収量が多いのが特長で、今年の調達量の2割強を占める見通しだ。ほかに、気象変動に強い品種の開発も進めている。
担い手不足が深刻化する農家の負担軽減策も充実させる。カルビーポテトが大型機械を導入して、希望する契約農家の収穫や選別作業を支援する取り組みを広げるなどして、30年をめどに、カルビーグループで使用するジャガイモのうち国産の比率を現在の80%程度から100%に引き上げる目標を掲げる。
同社は9月上旬、帯広市の川西支所内の貯蔵庫に、処理能力が従来の2倍となる最新の自動選別機や大型ベルトコンベヤーなどを導入した。通常は農家が大きさを選別してから貯蔵庫に持ち込むが、同社十勝馬鈴薯(ばれいしょ)事業所(十勝管内芽室町)の白井亮一所長は「受け入れ能力さえあれば、台風直撃の前に農家が一気に収穫できるようになる」とする。中村一浩社長は「農家の課題に向き合い、ともに歩んでいくことがポテチショックを繰り返さないことにつながる」と力を込める。
一言コメント
原料がないと元も子もないよね。
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