日系企業、“世界の工場”から逃避 中国から他国へ生産拠点移管の動き加速
- 企業・経済
- 2019年9月2日
米国の中国製品に対する「第4弾」の制裁関税発動による影響を避けるため、日本企業が「世界の工場」の役割を担ってきた中国から、他国へ生産拠点を移管する動きが加速してきた。米中貿易摩擦の激化で安全資産とされる円買いが進めば、円高ドル安で輸出企業を中心に業績悪化につながりかねない。米中摩擦を背景とした世界経済の減速が、日本経済の下振れリスクを高めている。
1日に発動された追加関税約3200品目には靴や衣料品、複合機などが含まれる。
ランニングシューズなどスポーツ用品を手がけるアシックスは、米国向け製品の生産拠点を昨年秋までに、中国からベトナムやインドネシアに移管。広田康人社長は「米中の経済が悪化すると、商品の売り上げに影響する」と懸念する。
カジュアル衣料品店「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングは、米国向け製品の多くを中国で生産しており、生産体制について「対応を検討中だ」(同社)としている。
リコーは米国向け生産拠点を7月にタイ工場に移した。
12月には、制裁関税の対象がゲーム機などにも広がる。これを見越して任天堂は今夏、主力の家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の一部生産を中国からベトナムに移した。
一方、直接的な影響は受けなくても、米中摩擦に伴う世界経済の減速を懸念する企業は多い。パナソニックは2020年3月期の業績見通しで、米中貿易摩擦が100億円の減益要因になると予想。第4弾の発動で、取引先企業の設備投資がさらに冷え込むことに警戒感を強める。
国際通貨基金(IMF)が7月に発表した19年の世界全体の実質経済成長率見通しは3.2%と、米中摩擦を背景に前回4月時点から0.1ポイント下方修正した。日本も0.9%と0.1ポイント引き下げた。日本商工会議所の三村明夫会頭は「世界経済全体の成長率が落ちれば、巡り巡って日本経済にも影響が出る」と憂慮している。
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■米国の対中制裁関税「第4弾」への日本企業の主な対応
・アシックス
米国向けシューズ生産を昨年秋までに中国からベトナムやインドネシアに移管
・リコー
米国向け複合機の生産拠点を7月に中国からタイ工場に移管
・京セラ
複合機やコピー機の生産拠点を中国からベトナムに移管することを表明
・ソニー
家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」の中国外への生産移管を検討
・任天堂
家庭用ゲーム機「ニンテンドースイッチ」の生産の一部を今夏、中国からベトナムに移管
一言コメント
移管できるところはしたほうがいい。
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