貿易交渉、妥結へ前進=トランプ氏の意向が焦点
- 政治・経済
- 2019年8月25日
【ワシントン時事】日米両政府は23日、貿易協定締結をめぐる閣僚協議で大枠合意に至り、双方が目指す9月下旬の交渉妥結へ前進した。
ただ、閣僚レベルで一致しても、最終的に成否を握るのはトランプ米大統領の意向だ。茂木敏充経済再生担当相は「方向性を共有した」と自信を示したが、もくろみ通りに決着するかどうかは予断を許さない。
日米貿易交渉が始まったのは4月。急展開を遂げた背景には米国側の焦りがあった。米国が離脱した環太平洋連携協定(TPP)が昨年末に発効し、TPP加盟国の牛肉の関税は段階的に9%まで下がることが確定した。一方、米国産は通常の関税率38.5%が課せられ、不利な立場を強いられている。
一連の交渉で、米国は早期の農業市場開放を要求。日本は牛肉や豚肉などの関税をTPP加盟国と同水準まで下げることを容認する代わりに、工業品については米国から一定の譲歩を得た。
ただ、トランプ氏が重要視する自動車分野については調整が難航した。関係者によると、米国は現状2.5%の自動車本体の関税撤廃は拒む構え。日本は自動車以外の幅広い工業品の関税撤廃について確約を得て、不公平感が目立たない枠組みで妥結することを目指している。
今後、焦点となるのはトランプ氏の判断となる。安倍晋三首相は早期の妥結によって、米国が検討する自動車の追加関税を回避する言質を得たい考えだ。しかし、トランプ氏が閣僚間の大枠合意を容認するかどうかは不確実な面がある。
みずほ総合研究所の菅原淳一主席研究員は「トランプ大統領は貿易と安全保障は別だという不文律を簡単に覆す」と指摘する。米国に安全保障で依存する「弱み」につけ込み、日本が最終局面でさらに譲歩を迫られる懸念もあるとみる。
一言コメント
米国もTPPに入っていればもっと楽だったのにね。
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