野口、東京五輪の夢に“登り”つめた!「銀」で決めた30歳/スポーツクライミング
- スポーツ
- 2019年8月21日
スポーツクライミング・世界選手権第9日(20日、東京都八王子市のエスフォルタアリーナ八王子)8人による女子複合の決勝が行われ、第一人者の野口啓代(あきよ、30)=TEAM au=が銀メダルを獲得し、7位以内かつ日本勢最上位で代表に決まる規定を満たして東京五輪切符をつかんだ。新種目では五輪内定の第1号。野中生萌(みほう、22)=XFLAG=は5位、森秋彩(あい、15)=茨城県連盟=は6位、伊藤ふたば(17)=TEAM au=は7位。ヤンヤ・ガルンブレト(20)=スロベニア=が2連覇した。
どれだけの時間、壁に向き合ってきただろう。日本勢4人の争いで五輪切符をつかんだのは、キャリア19年の野口だった。16歳から出場し、今回が最後と公言した世界選手権の複合で銀メダル。有終の美を飾った平成元年生まれの30歳は、興奮気味だった。
「本当に夢みたい。まだ信じられないです」
勝負カラーの赤のリボンで髪を束ねて出陣。最初のスピードは、ミスもあって7位に沈んだ。種目別で銀メダルに輝いた、続くボルダリングで神経を研ぎ澄ます。「すごく集中できて。意識せず勝手に良い状態になった」。最初のトライで完登する「一撃」を1課題目で決めた。ただ一人の2完登で1位となり、ホールドをたたいて喜びを爆発させた。
切符を逃せば引退する覚悟もあった。ここで代表入りできなくても選考会は続くが、故郷で親や仲間に見守られて競技人生を終えたいと考えていた。「今回決まらなかったら、後の計画は全くなかった」。追加種目となる東京五輪を最後に現役を退くとかねて公表していた。今回も同様に腹をくくっていた。
少女時代はやんちゃだった。木登りが好きで、親が当時経営した牧場の屋根にも登った。11歳でクライマーに。中学生の頃には、実家の敷地内に父が手作りしてくれた壁に来る日も来る日も向き合った。12歳で世界ユース選手権に出場して初優勝。ボルダリングのW杯では4度の総合優勝と、時代を切り開いてきた。
「あと1年は死ぬ気で頑張ります。金メダルを目指したい」。競技歴20年で迎える祭典で集大成を飾る。年輪を刻んだ指先は、どんな壁も突破する術を知っている。
一言コメント
五輪の表彰台にも登っていただきたい。
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