先行きに暗雲=円高、米中対立激化-トヨタ
- 企業・経済
- 2019年8月4日
急速に進む円高がトヨタ自動車の業績を揺さぶっている。トヨタは計画発表から3カ月足らずで通期予想の下方修正を余儀なくされた。4~6月期の世界販売は好調だったが、米中貿易摩擦の激化で世界経済の減速懸念が広がっており、先行きには暗雲が立ち込めている。
4~6月期の連結純利益は過去最高を更新。中国では、高級車「レクサス」などの販売が好調に推移し、苦戦する他社を尻目に、トヨタ単体で販売台数が前年同期比16%増と伸びた。国内や欧州も堅調で、世界販売は4%増を確保した。
もっとも、トヨタ経営陣に笑顔はない。事業環境の先行きがあまりにも不透明だからだ。「取り巻く環境変化は激しく、大きい」。記者会見した吉田守孝副社長執行役員は厳しい表情で語る。
最大の懸念材料は円高進行だ。今回の通期予想修正では、前提となる為替レートを4円円高方向に見直した。トヨタでは対ドルで1円の円高が進むと400億円の営業減益要因になる。修正後の連結営業利益は増益から一転、減益予想になった。今後、想定を超えて円高が進めば、さらなる下方修正が避けられない。
米中対立の深刻化も気掛かりだ。今回の修正予想には米国による9月からの対中追加関税拡大の影響を織り込んでいない。中国景気が一段と減速し、新車販売が落ち込めば、業績へのさらなる打撃となりかねない。吉田氏は「原価低減による競争力向上を緊張感を持って進めることが重要だ」と強調。収益改善は、お家芸のコスト削減に頼らざるを得ない状況となっている。
一言コメント
さすがのトヨタも今後はキツイ?
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