コクヨのぺんてる株“取得”で両社すれ違い「通告ない」
- 企業・経済
- 2019年7月30日
文具最大手のコクヨがぺんてるに間接的に出資して筆頭株主になり、両社の間で進められる提携交渉の行方に注目が集まっている。業務提携を目指すコクヨに対し、ぺんてるが「(出資は)事前通告がなかった」と反発を強めているためだ。両社は定期的に協議の場をもっているというが、出口は見えない状況だ。
「国内市場が厳しい環境にあるのは文具メーカーにとって共通の課題。先方にもプラスになることで“ウィンウィン”の関係を築くのが大前提だ」。29日、大阪市内での決算会見でコクヨの黒田英邦社長は協業の利点を訴え、ぺんてるへ“ラブコール”を送った。
事の発端は5月。コクヨは、非上場のぺんてる株37・45%を保有するマーキュリアインベストメント(東京都千代田区)傘下の投資ファンドに約101億円を出資して子会社化、間接的にぺんてるの筆頭株主となった。
コクヨの狙いは、ぺんてるがもつ海外販路。連結売上高では約8倍のコクヨだが、海外事業ではぺんてるが先行する。ぺんてるは欧米を中心に海外22拠点をもち、約120カ国で事業展開。サインペンなどでブランドを確立し、海外売上高比率は65・8%にのぼる。
コクヨはアジア7カ国で海外事業を展開するが、海外売上高比率は約7%にとどまる。欧米に強いぺんてると、海外事業の補完関係が築けるとの立場だ。
コクヨは間接出資に関し、ぺんてる側には正式発表まで伝えていなかった。ぺんてる側は「急な出資で遺憾」と反発。「協業は信頼関係が重要だが、現状ではそうした関係が構築できていない」などと態度を硬化させた。コクヨによると、事前に伝えなかったのは、マーキュリア側から「ぺんてるに事前開示しない」との条件が設けられてたためという。
黒田社長は29日、現在両社の経営陣が週1回程度顔を合わせており「前向きな協議が進んでいる」と述べた。一方、ぺんてるは同日「間接出資の経緯の説明を受けているが、連携に向けた具体的な協議はしていない」とコメント。認識はすれ違っている。
一言コメント
焦らずじっくり進めるしかなさそうだ。
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