ゲーム依存の実態とは 現実逃避し、借金しても止められず
- 政治・経済
- 2019年5月26日
世界保健機関(WHO)総会は25日、オンラインゲームやテレビゲームのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を新たな依存症として認定した。薬物や酒などと違い、治療のための支援態勢が整っているとはいえず、関係者は「リスクが改めて認識されるきっかけになれば」と話す。
患者の多くは、ネット接続型のオンラインゲームが原因となる場合がほとんどで、際限なく課金をして、消費者金融から借金するケースもみられる。関西地方に住む男性(34)は、大学時代からオンラインのロールプレーイングゲーム(RPG)にのめり込み、ゲームを有利に進める有料アイテムを入手する「課金」を繰り返した。
手持ちの資金だけでは足りずに同居していた母親のクレジットカードの番号を盗み見て何度も金を引き出し、消費者金融からの借金も約100万円に上った。総額で400万円ほどをつぎ込んだという。
引っ込み思案な性格だが、ゲームの中で他のプレーヤーとチャット(会話)するときは、思ったことは何でも言えた。生活が破綻してもゲームを止めようとは思えず、「死んで逃げればいい」と思っていたが、支援団体でカウンセリングを受け、「ようやく自分が病気だったと気づいた」。
依存症から脱するための施設に入所し、会社を休職中の男性(26)がオンラインゲームにのめり込んだ理由は「寂しさ」だった。就職した会社は夜勤などが多く、時間が不規則。「ゲームなら24時間、いつでも誰とでも遊べる。ゲームで知り合った人と実際に会ったりもした」。
仕事の合間や睡眠時間を削って没頭し、課金で1日で最大30万円以上使ったこともある。最後には同僚から多額の借金をして、会社にも行けなくなった。「当時はゲームにはまっているだけ、と自分をだましていた。依存していると認めたくなかった」と振り返る。
依存症からの回復を支援する団体「ワンネスグループ」(奈良県)によると、ゲーム依存の相談は数年前から増え始め、中高生など10代も多いという。自身もかつてゲーム依存症だったスタッフの木村勇也さん(31)は、「ゲーム依存も薬物やアルコールと同じで専門の治療が必要だが、これまでは依存症として認識されづらく、支援の受け皿も少なかった。採択をきっかけにゲームのリスクが認識されれば、正しい対処への前進になる」と話している。
一言コメント
早く対策を講じないと大問題になるよ。
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