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ソニーが赤字のスマホ事業にメス “最後”の国内大手が最大の正念場


ソニーが、スマートフォン事業の不振にあえいでいる。同社は赤字脱却に向け構造改革に着手。3月末には中国・北京での生産を終了し、タイの工場に集約した。今後は大幅な人員削減に踏み切るとの見方もある。スマホ事業からの撤退が相次いだ日本メーカーの中で、ソニーはスマホ事業の存続に向け最大の正念場を迎えている。

「黒字化へのステップは着実に踏んでいる」

ソニーの十時裕樹最高財務責任者(CFO)は、4月26日の決算発表会見でスマホ事業の見通しについてそう述べた。

同社の平成31年3月期連結決算は、ゲームや音楽、映画といったエンターテインメント関連の好調などで、本業のもうけを示す営業利益が前期比21・7%増の8942億円と、2年連続で過去最高を更新した。

これに対し、スマホ事業は971億円の巨額赤字に沈んだ上、赤字額は前年の276億円から大幅に拡大。販売台数は約650万台と、約1350万台から半減した。

同社は24年までスウェーデンの通信機器大手エリクソンと合弁で携帯電話端末事業を展開。最盛期には年1億台を出荷した。だが現在の世界シェアは1%に満たず、大手の韓国サムスン電子や米アップル、中国の華為技術(ファーウェイ)に比べ、大きく見劣るのが現状だ。

ソニーは、今期も470億円の赤字になるとみている。それでも十時CFOは昨年秋に示した見通しと変わらず、「黒字化のラインに乗っている」と強気の姿勢を崩さなかった。

第5世代(5G)移動体通信システムが本格到来すれば、スマホはあらゆるネット機器をつなぐ存在として、これまで以上に重要な存在となる。ソニーにとっては、傘下に抱えるコンテンツやサービスと、テレビやカメラなどのハードウエアを結ぶ「要」で、通信機能を備える唯一の機器でもあり、事業から手を引くわけにはいかない。

だからといって、これ以上の赤字は許されない。このため同社は令和3年(2021)年3月期の黒字化を必達目標とし、不退転の決意で改革に臨もうとしている。

改革は商品力強化とコスト削減の2本柱から成り、少しずつ成果を出し始めている。たとえば、初夏に国内で発売予定の「エクスペリア1」。画面サイズが21対9と映画とほぼ同じなので映像に没頭しやすいほか、画面を2つに分割してサッカーの試合を見ながらSNSで他の視聴者と交流するといった使い方も可能だ。

スマホ事業子会社、ソニーモバイルコミュニケーションズの岸田光哉社長は端末を披露した4月16日のメディア向け説明会で、「ソニーだけが実現できるクリエーティブなエンターテインメント、本物のエンターテインメントを提供する」とでき映えを誇った。

一方で同社は4月1日にテレビとカメラ、スマホの3事業を統合。今後は組織運営の効率化を徹底する考えだ。北京の工場は閉鎖の手続きに入るほか、販売面では中南米と中近東から撤退した。

もっとも、それだけでは足りない可能性が高い。

米調査会社のIDCによると、2019年の世界のスマホ出荷台数の見通しは13億9400万台で、3年連続で前年を下回るという。スマホ市場拡大にブレーキがかかる中、ソニーのような事業規模で劣るメーカーへの退場圧力がさらに高まるのは必至だ。

十時CFOは会見で質問に答えなかったが、3月には約4千人の人員を最大で半分に減らすと一部で報じられた。

従来型携帯(ガラケー)の時代に10社以上を数えた日本メーカーは、投資ファンドなどに事業を売却したりして、ほとんどが撤退。国内販売でソニーを上回るシャープは、厳密には鴻海(ホンハイ)精密工業(台湾)の子会社だ。昔から変わらずにビジネスを展開している日本の大手はソニーぐらいだ。

1年前まで社長として構造改革に辣腕を振るった平井一夫氏は、6月に会長職も退く。平井氏は赤字を垂れ流していたテレビ事業を立て直すなどして業績をV字回復に導いたが、スマホまでは手が回らなかった。吉田憲一郎社長ら後を託された経営陣は、同事業を再建することで平井氏の時代から続く改革を総仕上げするとともに、日本メーカーを反転攻勢に導く責務を負っている。

産経新聞

 

 

一言コメント
何とか踏ん張ってもらいたい。


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