<特殊詐欺>「急募」ご用心 ネット求人悪用「受け子」調達
- 詐欺・悪徳商法
- 2017年5月11日
詐欺グループがバイク便のアルバイト募集を装った広告をインターネットの求人サイトに出し、それに応募した若者が詐欺グループに狙われた高齢者らから現金を受け取る「受け子」に仕立てられる被害が出始めている。警視庁によると、知らないうちに犯罪に加担させられ逮捕されたケースは今年1月以降、5件あるという。同庁は「受け子を調達するために偽の広告を出している」とみて、注意を呼びかけている。
バイク便・電車便。免許のない方は電車便で業務していただきます--。今年3月、バイク便業者をかたる会社の求人広告に応募した東京都内の20代の大学生が、詐欺未遂容疑で現行犯逮捕された。
学生は履歴書1枚をファクスしただけで採用された。「社員」を名乗る人物から携帯電話で指示された場所に行き、荷物を受け取るという仕事だった。学生は免許を持っていなかったため、電車で都内の病院に向かい、お年寄りから紙袋を受け取ったところを捜査員に取り押さえられた。お年寄りは株式投資名目の詐欺話を信じてしまい、1600万円を要求されていた。
学生は逮捕されたが、事件に関与させられていることを知らなかったとみられ、「お金を受け取るなんて知らなかった」と困惑していたという。
同庁犯罪抑止対策本部によると、同様の広告は今年に入って目立ち始めた。「未経験者歓迎」「会社での待機はなく在宅勤務」。手軽な仕事内容をPRし、時給1500円を提示する広告もあった。同本部は「不自然なほど好条件。何も知らない若者たちを受け子役にするための広告」とみる。
◇甘い審査狙われ
公益社団法人「全国求人情報協会」(東京都)によると、求人サイトの審査や運営に明確なルールはなく、広告内容をどこまで審査するかは各社の判断に委ねられている。
企業側、利用者側の双方が無料で利用できるサイトを運営する会社の担当者は「内容が明らかに不審ならば広告を削除することもあるが、原則として審査はしない」と明かす。サイトで詐欺被害に遭わないよう注意を呼びかけており、「自己責任で判断してほしい」と説明する。一方、審査しているという会社の担当者は「広告主にヒアリングするなど事業実態を確認している」と話す。同本部は「悪質な求人広告は審査の甘い一部のサイトに偏りがちで、詐欺グループはそうしたサイトを選んでいるとみられる。面接もなく、応募から採用までの時間が異常に短いケースは要注意」と呼びかけている。
コメントする