LIXILトップ人事で泥沼化 前CEO 復帰目指し株主提案を表明、会長に対抗
- 企業・経済
- 2019年4月6日
住宅設備大手のLIXIL(リクシル)グループで、トップ人事をめぐる騒動が泥沼化している。昨年秋に最高経営責任者(CEO)を事実上解任された瀬戸欣哉(きんや)取締役は5日、記者会見を開き、6月開催の定時株主総会で、自身を含む8人を取締役として選任するよう株主提案すると発表した。潮田(うしおだ)洋一郎会長兼CEOらに対抗して、CEOへの復帰を目指す考えだ。
業績が低迷し事業再構築を進める同社だが、経営の主導権争いが長期化すれば改革の停滞でさらに経営への打撃となる懸念がある。
リクシルは、平成28年6月に社長兼CEOに就任した瀬戸氏が、CEOを退任し、旧トステム創業家出身の潮田会長がCEOを兼務する人事を昨年11月に実施。瀬戸氏は今年3月に社長を退き、6月の定時株主総会で取締役からも退任する予定だった。
しかし、瀬戸氏のCEO退任などをめぐり、コーポレートガバナンス(企業統治)に問題があるとして、複数の機関投資家らが潮田氏らの取締役解任を求め、臨時株主総会の開催を要請。今回の株主提案では、旧INAX創業家の出身でリクシル取締役でもある伊奈啓一郎氏が共闘する構えを示しており、リクシル経営陣の中で、対立の構図が鮮明になった。
今年2月に公表されたCEO交代の経緯などに関する外部調査委員会の報告書によると、もともと瀬戸氏に辞任の意思はなかった。だが、潮田氏は瀬戸氏が辞任の意向を持っているとして、取締役候補を選任する指名委員会を招集。瀬戸氏のCEO退任と、後任人事を決めたという。
5日の会見で瀬戸氏は「愚痴をいったことはあるが、本当にやめたいと話したつもりはない」と強調。休暇でイタリア滞在中に潮田氏から電話で交代を告げられ反論したが、「機関決定で覆せないといわれ、辞任を決めた」と説明した。
瀬戸氏は工具通販大手、MonotaRO(モノタロウ)の元会長で、潮田氏自身がプロ経営者としてリクシルに招いた。その瀬戸氏を退任させた背景には、経営戦略の対立がある。
シンガポールへの本社移転や海外事業の強化を打ち出す潮田氏に対し、瀬戸氏は海外事業拡大はリスクが大きく、国内事業の再建などを優先させるべきだと主張した。今後は臨時、定時株主総会で、株主から議案への支持を取り付ける委任状争奪戦へ発展するのは必至だ。
一言コメント
こりゃしばらくモメそうだ。
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