日航LCC、名称「ZIPAIR」に 先行海外ブランドとの価格競争がカギ
- 企業・経済
- 2019年3月9日
日本航空は8日、新たに中長距離国際線に参入する傘下の格安航空会社(LCC)の名称を「ZIPAIR Tokyo(ジップエア トーキョー)」にすると発表した。2020年に成田―バンコクと成田―ソウルの2路線でスタートする。ライバルのANAホールディングス(HD)も傘下のピーチ・アビエーションが20年度をめどに中距離の国際路線に進出する方針で、先行する海外LCCとの価格競争が課題となりそうだ。
ジップエアの西田真吾社長は同日会見し、「ZIPは英語で矢などが素早く飛ぶ様子を表した擬態語。フライトの体感時間が短いエアラインであることを表現している」と、新ブランドの狙いを語った。日航の完全子会社だが、すみ分けを図るため、JALのロゴや「鶴丸」のシンボルマークは使わなかった。
日本のLCCとして初の中長距離国際線を目指すジップエアは当初、ボーイング787の2機体制でスタートするが、西田社長は「毎年機材を2機ずつ増やし、(太平洋を渡ってアジアと北米を結ぶ)世界初のLCCを目指したい」と述べた。
ライバルのANAHDは傘下LCCのピーチとバニラ・エアを19年度中に経営統合し、ピーチに路線を移管したうえで20年度をめどに中距離LCCに進出する。ピーチは現在、羽田―上海など近距離の国際線があるが、中距離は「シンガポール、タイなど東南アジアを中心に検討していく」という。
両社に共通する課題は、先行する海外のライバルとの価格競争だ。LCCは飛行時間が短い近距離で小型機を効率よく回すことで低価格を実現してきた。航空業界ではLCCの中長距離路線の損益分岐点は飛行時間が6時間以下とされ、飛行時間が長くなるほど利益を出すのが難しいという。成田―バンコクは6~7時間だが、アジアと北米を結ぶLCCが成り立つかは未知数だ。
ジップエアは目標とする運賃について「日航のエコノミークラスの平均的な運賃の半分以下を目指す」としているが、需要の多い成田―バンコクはタイ・エアアジアXやシンガポールのスクートなど海外のLCCが既に就航している。西田社長は「価格で負けないようにしたい。就航後2年で黒字化を目指す」と述べたが、顧客の支持を得られる低価格を実現しながら、安定経営ができるか真価が問われる。
航空業界に詳しい桜美林大学の丹治隆教授は「中長距離のLCCは近距離に比べ採算が取りにくいが、専業LCCへの対抗上、世界的に大手の進出が相次いでいる。今回の日航もその流れにある。後発のハンディキャップをどう埋めるか注目される」と話している。
一言コメント
海外に安く行けるのはうれしい。
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