LIXILの説明会、機関投資家の怒りの火に油
- 企業・経済
- 2019年3月9日
LIXILグループが3月7日に一部の機関投資家向けに説明会を開催した。2月25日に公表した、瀬戸欣哉社長をCEO(最高経営責任者)から事実上、解任した経緯に関する調査・検証結果について、機関投資家に理解を求める狙い。だが、説明会に参加したある投資家は、「説明会は紛糾した。納得した人はほとんどいなかったのではないか」と怒りをあらわにする。説明会は投資家の怒りの火に油を注いだ格好になった。
説明者は、社外取締役で監査委員会委員長を務める川口勉氏。冒頭、CEOなどの交代について心配をかけたことについて謝罪し、弁護士による報告書への理解を求めた。調査報告書の原本は18ページあったことを明かし、「会社の機密事項などもあること」から8ページに要約したと説明。「約45%、ほぼ半分が反映されている。10分の1にするといった話ではない」と、説明としては十分であると強調した。
その後は、8ページの要約をなぞりながら川口氏が見解を述べていったが、その説明は25分程度続き、しびれを切らした投資家が、「話が長い。あなたの意見を聞きたいのではなく、質問をしたい」などと川口氏の説明を遮る形で質疑応答に移った。
説明会に参加した投資家によれば、集まったのは十数人。海外から電話会議で参加した投資家もいた。
質問では、CEOなどの選任プロセスが法的には問題がなかったとしても、ガバナンス上問題であり、取締役会の決議は無効なのではないか、といった声が相次いだ。
取締役会議長だった潮田洋一郎氏と社外取締役だった山梨広一氏が、5人からなる指名委員会のメンバーでありながら指名される側になる決定をしたことについて、あまりにも慎重さを欠いていたのではないかといった指摘も出た。また、人事を決めた取締役会では指名委員の2人(バーバラ・ジャッジ氏、幸田真音氏)が別の会議への出席のために途中退席し、採決に参加していないのは不自然だという投資家もいた。
弁護士による検証結果を会社が要約して公表したことについても、「全文を公表しないのか」「残りの55%が全て機密だとは思えない。第3者が精査して公表し直すべきではないか」といった不満が相次いだ。
報告書の要約が、潮田氏が「指名委員に対して、瀬戸氏がCEOを辞任する具体的かつ確定的な意思を有しているかのような誤解を与える言動をした」と指摘したことを受け、「潮田氏のウソが明らかになったのに、なぜ、決議が無効にならないのか」と不満をぶちまける投資家もいた。
説明会に参加した投資家の1人は、「残念な思いとフラストレーションがさらに増した」と憤る。「社外取締役は投資家の代表であるべきだが、結局は潮田氏を擁護する弁明に終始していた」というのが、その理由だ。また、別の投資家は、「表面上はガバナンス優良企業とされていたが、実態は株式の約3%しか持っていない潮田氏が牛耳っていることが問題。報告書も結論ありきと言われても仕方がない」と言う。
説明会の後、ある投資家は、「少なくとも株主総会では議決権を行使して、潮田氏の再任にはノーと言いたい」と打ち明けた。
一言コメント
まだしばらくモメそうだ。
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