大塚家具社長「成長の基盤つくる」 経営トップとどまる意向 38億円増資へ
- 企業・経済
- 2019年2月16日
業績不振の大塚家具は15日、海外の取引先を中心とした企業連合と米系投資ファンドに約38億円の第三者割当増資を行うと発表した。同日公表の2018年12月期決算は最終(当期)損益が3期連続の赤字で、財務の立て直しを急ぐ。大塚久美子社長は毎日新聞の取材に「スピードを上げて経営を立て直す」と述べた。
在庫一掃セールなどを進めたが、18年12月期の売上高は前年同期比9%減の373億円と低迷。もうけを示す営業損益は51億円の赤字だった。
収益改善のため、中国や日本、台湾の取引先を中心とした企業連合と米投資ファンドに新株を発行して資金を受け取る第三者割当増資で約38億円、さらに米投資ファンドなどに対して新株予約権を発行し計76億円を調達する。資金はEC(電子商取引)強化などに利用する。
新株予約権を買い取る企業の一つである越境ECサイト運営会社「ハイラインズ」(東京都)と業務提携も締結。昨年12月に業務提携した中国の家具販売大手「居然之家(イージーホーム)」(北京市)を含めた3社で連合し海外事業を進める。
イージーホームが中国に持つ実店舗とハイラインズのECシステムに加え、大塚家具が持つ販売現場のノウハウなどを活用し、業績改善を目指す。中国でのECによる家具の販売は4月をめどに開始する計画で、家具は現地に適した仕様に変更することも検討する。
一方、国内事業立て直しに向け、住宅関連事業に力を入れている家電量販店のヤマダ電機とも業務提携した。家具の販売ノウハウや人材育成で協力する。
業務提携や増資による再建策を進めるため、19年12月期の業績予想は「未定」としている。大塚社長は取材に対し、「会社を立ち直らせ成長にもっていく基盤をつくりあげる」と述べ、引き続き経営トップにとどまる意向を示した。【藤渕志保】
◇大塚家具のお家騒動
創業者の大塚勝久氏と長女の久美子氏が2014年以降、経営権を巡り対立した騒動。勝久氏は、1969年に大塚家具の第1号店を埼玉県春日部市に出店。会員制システムや専任販売員の配置など高級路線で業績を伸ばした。しかし、09年3月に社長に就任した久美子氏は、ニトリなど低価格路線の家具店との競争が激化したことを背景に、中価格帯の商品を拡充し勝久氏の路線を転換した。
当時、会長だった勝久氏はこうした経営方針に反対、14年7月に久美子氏を解任。会長と兼任する形で社長に復帰した。久美子氏は15年1月、身内を味方につけて取締役会で社長に返り咲き、勝久氏は同3月に会長を退任した。騒動で企業イメージが低下した。
一言コメント
果たして一発逆転はあるのか!?
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