就活ナビ一辺倒は終わり。増える逆オファー、変わる学生のキモチ
- 企業・経済
- 2019年2月10日
就活“ナビ”一辺倒の時代が終わろうとしている。就職活動用サイトによって学生は多くの企業を知り、申し込めるようになった一方、就活疲れや雇用のミスマッチも増えている。この歪みの解消を狙い、企業が学生をスカウトする逆求人型就活サイトや長期のインターンシップ(就業経験)が広がってきた。どんな就活が良い働き方につながるか、考えるタイミングに来ている。
i-plug(アイプラグ、大阪市淀川区)が運営する逆求人型就活サイト「オファーボックス」に登録する学生は年々増加している。2019年3月卒業の学生登録数は約10万人で、4人に1人が登録。学生がプロフィルなどを掲載し、企業がこれを見て学生にオファーする。オファーの数や、学生がオファーを承認できる数を制限し、1人ずつとのコミュニケーションに時間をかけてもらう設計だ。
学生は、リクナビやマイナビといった就活サイトとの併用で、オファーボックスを利用する。「普通の就活は、企業に申し込んでは断られ、落ち込む。オファーボックスは企業からオファーが来るので、承認されるた気持ちになる。学生からは『元気が出る』と言われる」(アイプラグ広報)という。
ウォンテッドリーが運営するビジネス向け参加交流型サイト(SNS)サービスも、学生の利用が増えてきた。主に長期のインターン先を探すことを目的に、約10万5000人の学生が登録している。「去年1年間で、学生向けに企業が出した募集は2万7000件あった」(ウォンテッドリー広報)。
同社のサービスは当初、IT企業やスタートアップ企業での中途採用・転職先探しの利用が多かったが、今ではインターンや副業にも広がっている。「ビジョンに共感し、会社とビジネスパーソンをつなぐ。それは学生も同じ」(同)と話す。
地方のミカタ(東京都新宿区)は、東京で就職活動をしている地方に住む学生に対して企業がオファーを送れるオンラインサービスを提供している。「この2年くらいで、地方の学生を採りたい企業が増えてきた」(地方のミカタ担当者)という。現在、約250社が登録する。
「地方の学生が東京で就活をするのは大変だ。それでも、わざわざ来る学生を『逆境に強い』、『バイタリティーがある』と、企業は評価している。特にベンチャー企業から人気が高い」(同)という。同社のサービスを使って地方学生を採用した企業の多くが、次の年も利用しているという。
このほか、同社は地方学生が東京で就活をする際のシェアハウスなども運営している。
経済界からも、経団連の中西宏明会長が18年9月に就活ルール廃止を提案し、大きな話題となった。少子高齢化による学生数の減少や、産業の変化により求められる人材が変わる中、就活のあり方も問われている。
では、どう変わったらいいのか。このほど、企業や関係機関だけでなく、学生も含めて今後の就活や働き方について話し合おうという、新たな取り組みが始まる。2月18日13時から虎ノ門ヒルズ(東京都港区)で、ビジネスパーソンや学生、人材サービス関連企業らが参加する「就活未来会議2019」が開催される。これまで学生が意見を表明できる場はあまりなかった。当事者である学生の本音が注目される。
一言コメント
流れは完全に変わった!?
コメントする