JR九州が福岡市博多区の博多駅ビル「JR博多シティ」の拡張を計画していることが判明した。現在の駅ビルの南側に、在来線ホームなどの上部を覆うように、新たなビルを建設する計画。博多駅周辺で進む再開発に弾みがつきそうだ。

再開発のため、福岡市が主導している容積率や建物の高さ制限の緩和をにらみつつ、2019〜21年度の新たな中期経営計画に開発計画を盛り込む方針。建物の概要や着工、完成時期は決まっていないが、物販や飲食などの商業施設だけでなく、市内で供給が不足している高機能オフィスも開発するとみられる。

JR博多シティは、九州新幹線全線開業に合わせて11年3月に開業した。地上10階、地下3階で延べ床面積約20万平方メートル、高さ約60メートル。百貨店の博多阪急や、東急ハンズなどの専門店を集めたアミュプラザ博多などで構成している。17年度の入場者数は7241万人で、駅前広場は冬のイルミネーションなどのイベントで新たなにぎわいを生んだ。

人口減少を背景に、中核の鉄道事業が厳しい環境にあるなか、JR九州は、不動産や流通・外食事業を成長の柱と位置づける。熊本、長崎、宮崎の各駅でも駅ビル開発が進行中だ。

博多駅周辺では16年に、博多マルイなどが入居する商業施設「KITTE(キッテ)博多」や、JR九州と日本郵便の共同複合オフィスビル「JRJP博多ビル」が開業した。

福岡市は今月、博多駅周辺の老朽化ビルの再開発を促す新プロジェクト「博多コネクティッド(連結)」を発表。JR九州も西日本鉄道などの地場企業と連携し、新たな街づくりに取り組む。