少子化なのに学生専用マンション? 大手参入三つの狙い
- 企業・経済
- 2019年1月20日
ちょっとおしゃれな「学生専用」の賃貸マンションが次々に登場しています。風呂・トイレ別は当たり前、プライバシーは保ちつつ、シェアハウスのように共用スペースで交流を楽しめる物件も。少子化のはずなのに、なぜ建設が相次いでいるのでしょうか。
これまで分譲マンションを中心に手がけていた大手不動産会社も、次々にこうした学生専用マンションの建設に乗り出している。
「キャンパスヴィレッジ」で参入した東急不動産は今年3月、今度は京都市に、全113室の物件を完成させる予定だ。伊藤忠都市開発は一昨年3月、川崎市に初の学生専用マンション「CREVIA(クレヴィア) WILL(ウィル) 武蔵小杉」(390戸)を完成。三井不動産レジデンシャルも一昨年に参入した。いずれも満室状態という。
背景には、大学進学率の上昇などで、進む少子化とは裏腹に学生数は横ばい傾向が続いていることがある。文部科学省によると、2018年の大学生・大学院生は約291万人で、05年の約286万人から微増。18年の大学進学率は53%と10年前から4ポイント増えた。今後、外国からの留学生もさらに増えると見込まれ、「学生マンション市場は魅力あるマーケット」(東急不動産)になっている。
駅から遠い土地の、新たな活用法にもなっている。分譲マンションに適した「駅近」の土地は、次第に出物が少なくなり、ホテルなど商業施設との奪い合いも激しい。不動産経済研究所によると、17年の首都圏の新築マンション発売戸数は約3万6千戸と、ここ数年は横ばいの状態が続く。
ところが、学生専用マンションは、駅から遠くても大学に通いやすければ需要が見込めるため「事業チャンスを増やせる」(伊藤忠都市開発)。不動産経済研究所の松田忠司・主任研究員は「駅に近い土地の確保が難しくなるなか、多角化の一環で参入するディベロッパーが増えているのでは」とみる。
未来の「マイホーム商戦」を見据え、早くからブランド名を知ってもらう狙いもあるようだ。人口減少で分譲マンション市場の縮小も見込まれる中、東急不動産の担当者は「学生マンションで好印象を持ってもらえれば、将来の顧客につながる可能性がある」と期待を込める。
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少子化でも商機はある!?
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