特捜、年末年始も異例の取り調べ ゴーン容疑者の接見許可へ
日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)が私的な投資の損失を日産に付け替えたなどとして再逮捕された特別背任事件で、東京地検特捜部が29日~来年1月3日の年末年始もゴーン容疑者の取り調べを行うとみられることが28日、関係者への取材で分かった。現行犯逮捕の場合などを除き、年末年始に取り調べが行われるのは極めて異例。ゴーン容疑者が勾留されている東京拘置所(東京都葛飾区)は弁護人の要請に応じ、通常は認めない年末年始の接見を特例的に許可する見通し。
ゴーン容疑者は自身の報酬を有価証券報告書に過少に記載したとして金融商品取引法違反容疑で11月19日に逮捕されて以降、東京拘置所での勾留が1カ月以上続いている。特捜部の検事による取り調べは、平日は5時間程度、休日は6時間程度、いずれも午後から夜にかけて行われている。
特捜部などの捜査機関は年末年始に取り調べを行わなくて済むよう逮捕時期を調整するのが一般的。だが、今回は東京地裁が12月20日に金商法違反の再逮捕容疑の勾留延長請求を却下する「想定外の事態」(検察幹部)が起き、急(きゅう)遽(きょ)、翌21日に特別背任容疑での再逮捕に踏み切ったため、年末年始も取り調べを行う必要性が生じたとみられる。
勾留期限の来年1月1日に特捜部が延長請求し、地裁が認めれば最長1月11日まで勾留は続くことになる。勾留中の容疑者や被告には、法的助言を受けるため、弁護人と面会できる「接見交通権」がある。法務省と日本弁護士連合会の申し合わせに基づき、接見は平日と土曜日の午前にしか認められていない。12月30日~来年1月3日は日曜や祝日と同様に扱われるため、通常は接見できない。
このため、ゴーン容疑者の弁護人は「接見が認められないなら、取り調べも行わないでもらいたい」と反発。法務・検察側に接見許可を求めたところ、今回は取り調べが行われるため、特例として年末年始の日曜、祝日以外に当たる31日、来年1月2、3日の午前中に接見が認められる見通しになったという。
甲南大法科大学院の園田寿(ひさし)教授(刑事法)「今回は特別背任罪という法解釈が分かれる複雑な事件で、容疑者も外国人であることから、弁護人の支援が特に必要だ。世界中が注目する事件でもあり、制度の範囲内で権利を保障すべきだ」と話した。
一言コメント
ゴーン氏に正月はなさそうだ。
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