<ゴーン会長逮捕>「カリスマ裏切り」客怒り 販売店危機感
日産自動車会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕から一夜明けた20日、日産の販売店からは事件の説明を求める声が上がり、ユーザーは「裏切り行為」と怒りを見せた。燃費の検査不正問題など不祥事が相次ぐ中での「カリスマ」退場。日産ブランドのイメージ低下は必至で、先行きを不安視する関係者も少なくない。
京都市内の販売店で働く男性店員は「商談への影響はない」と話すが、事件で明らかになったゴーン会長の巨額の役員報酬については驚きを隠せない。日産は近年、排ガスや燃費の検査不正、完成車の無資格検査問題が相次いで発覚。男性は「会社が大変な時期に、私腹を肥やしていたなんて。あきれて言葉が出ない」と話した。
和歌山市内の販売店の男性店員は「無資格検査問題ではお客様に迷惑を掛けた。今回は製品面での問題ではないが、社内に危機感はある」と語る。
同じくゴーン容疑者が会長を務める三菱自動車。岡山県には、国内主力工場の水島製作所(倉敷市)があり、周辺には関連の部品メーカーが集まる。同県里庄町の部品製造会社の男性社長(55)は「(逮捕は)車の性能に関わる話ではなく、売れ行きに影響はないと思うが、長期的にはどうか」と将来への不安を口にした。
日産ユーザーの怒りは収まらない。大阪市内に住むネット販売業の男性(39)は、所有する日産の株や車を手放そうと考えている。「会長の不正は株主への裏切り行為だ。彼の暴走を許した日産への信頼は地に落ちた」と言い放った。
経営破綻寸前だった日産の業績がV字回復を始めた約15年前、男性はゴーン会長の経営手腕に期待を寄せ、1株800円前後の値を付けていた日産株を1000株ほど購入。「巨額な役員報酬の一部を新車価格の値下げや設備投資に回せばいいのに」と疑問を感じたこともあったが、業績は安定していたため株を持ち続けた。
ただ事件後の20日、株価は1株940円と年初来安値を更新。男性は「会社資金の私的流用の疑いがあるなんて許せない。持ち株は今でも利益が多少出るのですぐに売りたい」と語った。約10年前からマイカーは日産だが、車検の時期を迎える来年2月以降は他社に乗り換えるという。
一方、横浜市西区の日産自動車本社では20日夜、社員らが一様に険しい表情で家路を急いでいた。ある男性社員(41)は「事件を知り、ゴーン会長に対して思うところはいろいろある。世間を騒がせてしまい、本当に申し訳ない」と話した。別の男性社員は「事件を聞き、社員として気分が悪い。だから何も話したくない」と厳しい表情だった。
一言コメント
下請け企業や販売店も複雑な心境だろう。
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