迷走リクシル、「2度目の社長更迭」の深刻度
- 企業・経済
- 2018年11月12日
3年前と同じ、突然の退場劇だった。
10月31日、LIXILグループは2019年4月までに瀬戸欣哉社長が退任し、山梨広一社外取締役が社長に就任する人事を発表した。
同時に創業家2代目の潮田洋一郎・取締役会議長の会長兼CEO(最高経営責任者)復帰も明らかにした。LIXILが社長の“解任”に踏み切るのは、中国子会社の不正会計を機に2015年に退任した藤森義明前社長に次いで2度目となる。
なぜ瀬戸氏は解任されたのか。潮田氏が会見で公言したのは、瀬戸氏に対して就任当初から抱いていた違和感だった。
■すれ違う創業家と瀬戸氏
「LIXILは純粋持ち株会社でなくてもいいのでは」。2016年6月の社長就任を機に、瀬戸氏が放った一言に潮田氏は驚いたという。
「先を見据えて価値のある事業を見極める純粋持ち株会社と、目の前の問題に対処する事業会社とは違う。瀬戸さんとの認識の違いが最後まで埋まらなかった」(潮田氏)。創業家と瀬戸氏との距離は徐々に広がっていった。
瀬戸氏の解任がこのタイミングになったのにも事情がある。人事発表の9日前、LIXILは2019年3月期の業績予想を下方修正した。事業利益(IFRS、営業利益に相当)は450億円と当初の見通しより400億円低い。
この業績不振の要因は天候不順による工事の遅延に加え、瀬戸氏が今年4月から導入した「新取引制度」にある。この制度は取引額の規模に応じて、取引先への納入単価を自動的に決めるもの。2017年10月から半年かけて工務店などに説明し、準備をしてきた。
だが導入後の4月以降、実質値上げとなる取引事例が相次ぎ、顧客がYKK APや三協立山といったライバルへ大量に流出。その結果、住宅サッシなどを扱う主力事業のハウジングテクノロジー部門は、今期の事業利益が130億円と前期実績の275億円から半減する見通しだ。
瀬戸氏は「合理的な価格決定をする新取引制度は必要なもの」と主張する。
だが、LIXILの営業担当者からは「顧客との取引現場のことを何もわかっていない素人の発想。導入前から100%失敗するとわかっており、今の厳しい経営状況は事前に予測できた」との声が上がっており、瀬戸氏肝いりの制度に社員からは手厳しい評価が下る。
■新社長も前途多難
瀬戸氏に代わり同社の経営を担うのは、来年4月に社長就任予定の山梨社外取締役だ。富士フイルム、経営コンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニー、イオンの電子マネー事業責任者を経て、2016年からLIXILの社外取締役を務めている。
同氏に対しても内部からは、「瀬戸社長と同じで、業界のことも現場のこともわかっていない人。打ち出す施策も的外れなものだろう」(中堅社員)と、期待よりはあきらめムードが漂う。
会見では一言も話さなかった山梨新社長。失敗が続く海外案件や新取引制度への対応など、混乱する現場社員や取引先に対して、今後どんなメッセージを発していくのか。
藤森、瀬戸、山梨と現場から遠いプロ経営者が3代続くLIXILの経営は、迷走が続いている。
一言コメント
これでダメだったら、生え抜きのトップになるのかな?
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